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「タカラヅカの解剖図鑑」 入り待ち・出待ちも、清く正しく美しく

 いまから遡ること100年以上前、1914年4月1日に宝塚歌劇団の第1回公演が行われたんだそうです。100年以上も続く歌劇団って、純粋にすごいと思いませんか? その長い歴史は、それだけ多くの人々を魅了し続けてきた証でもあります。

 そんなタカラヅカの魅力をかわいいイラストとユニークな解説で紹介するのが「タカラヅカの解剖図鑑」です。本書は、お互いタカラヅカの大ファンだという、演劇ジャーナリストの中本千晶さんとイラストレーターの牧彩子さんによるタカラヅカガイドの決定版。男役や娘役、各組の特徴などの解説にはじまり、宝塚音楽学校のスターを育てる仕組み、バラエティに富んだ作品などの紹介を通して、広く深くタカラヅカの世界へと誘ってくれます。

 宝塚歌劇団に関することだけでなく、タカラヅカを愛するファンの生き様やファン心理についても紹介しているところが面白いところ。女性ファンが多い理由や男性ファンの楽しみ方、同じ作品を何度も見る訳などについても独自の分析を交えて熱く語られています。

 タカラヅカのファンといえば、入り待ち・出待ちできれいに並んでいる光景が有名です。これは、1970年代のベルばらブームをきっかけに、スターたちを守るためにファンが自主的に始め、次第にルール化されていったんだそう。私設ファンクラブに入っている「ガード」と呼ばれる人たちでスターが通る道の最前線をかため、その後ろに一般のファンが並ぶというのが基本ルール。ガードだけがスターに直接話しかけたり手紙を渡せたりするそうですが、タカラジェンヌが来ると一般のファンにも見えるようにしゃがんでくれるんだとか。ファンにも「清く正しく美しく」のタカラヅカ精神がしっかりと継承されているようです。

 長い歴史の中で独自のルールや文化が育まれていったタカラヅカ。その分、一度ハマったらどんどんのめり込んでしまうのかもしれません。劇場に足を運べないときだからこそ、本でタカラヅカの世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。

『寝ても醒めてもタカラヅカ!!』牧彩子さんインタビュー