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刑事の母と中学生の娘が活躍するミステリー 長岡弘樹『緋色(ひいろ)の残響』

著・長岡弘樹

 シングルマザーの刑事である羽角啓子と、その娘で中学生の菜月。母娘コンビが難事件に挑むミステリー短編集です。啓子は刑事だった夫の殉職後、強行犯係の刑事として働きながら一人娘の菜月と暮らしてきました。母の背中を見て育った菜月の夢は新聞記者になること。抜群の洞察力と行動力で、啓子も気付かなかった捜査の盲点を突きます。

 表題作の「緋色の残響」は、菜月が幼い頃に通っていたピアノ教室で起きた変死事件の謎解きです。食物アレルギーによる事故死という結果に終わりそうな捜査を覆したのは、ふたりが重視した、ある「感覚」でした。その他4編が本書には収められています。いずれも、人の心の底を見つめた余韻のある作品です。

定価1,400円+税 双葉社 03・5261・4818(営業)