電通Bチームは、本業の広告業の他に私的活動(副業)や趣味など個人として好きなもの(B面)を持つ人が集まる部署横断チーム。彼らは自らのB面からみつけた面白い事例を語り合う中でイノベーションを生む。例えば、文学担当が「泊まれる本屋」を紹介すれば、PLAY(遊び)担当は自ら紹介した「夜の動物園」と共通点を見いだす。「泊まれる」や「夜の」といった修飾語が企画を面白くしていることに気づき、こうした修飾語を使ってアイデアをふくらませる新たな研修事業を立ち上げることができた。
勤める会社にこうした組織がなくても自らのB面を本業に生かすことは可能だ。本書はそのためのヒントを数多く提供している。例えば、B面を持ち込む時期もポイント。会社が今の事業に行き詰まりを感じ新たな発想を求めてくるときがチャンス。そこで自分のB面からの情報・アイデア・人脈を本業に混ぜてソリューションを提案すると、社内で感謝されつつ、仕事に広がりが見えてくるだろう。
業界ナンバーワンになれなくても、自分の好きなB面を本業と結び付ければオンリーワンの存在になれる。本書は掛け合わせが生む無限の可能性に気づかせてくれる。=朝日新聞2020年7月18日掲載