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三島由紀夫没後50年、新潮文庫が人気作家の解説で新版 初収録作品集めた『手長姫 英霊の声』も刊行

 作家の三島由紀夫(1925~70)が11月25日で没後50年となるのにあわせ、新潮社は、人気作家を解説に起用した新潮文庫の新版を出した。全33冊のカバーもリニューアルし、新たな短編集も刊行。編集部は「三島は偏見をもって見られやすいが、純文学だけではない多彩な側面を持った作家。あらためて、いまの時代感覚のなかで読んでもらいたい」と話す。

 新版として刊行されたのは11冊。現代作家らによる書き下ろしの解説が収録され、『サド侯爵夫人・わが友ヒットラー』を平野啓一郎さん、『金閣寺』を恩田陸さん、『仮面の告白』を中村文則さんが担当している。あわせて全作品のカバーも、著者名が金銀箔(はく)押しの統一デザインとなった。

 また、新たなラインナップとして短編集『手長姫 英霊の声』=写真=も刊行。13歳で初めて書いた小説「酸模(すかんぽう)」(38年)から、陸上自衛隊に体験入隊する前年に発表した「英霊の声」(66年)まで、新潮文庫初収録となる9編を年代順に並べた。文学的価値よりも「いま読んで面白いかどうか、読者目線で選んだ」という。

 三島作品は新潮文庫のロングセラーで、売り上げの上位から『金閣寺』が360万部、『潮騒』が349万部、『仮面の告白』が254万部となっている。(山崎聡)=朝日新聞2020年11月4日掲載