野良猫のボブが一人のホームレスの人生を変えた「ボブとぼくの物語」シリーズは、世界で累計1千万部のベストセラーだ。筆者のジェームズ・ボーエンさんはかつて、英ロンドンの路上で雑誌「ビッグイシュー」を販売していた。ボブは6月にこの世を去ったが、表紙を何度も飾り、そのたびに大人気だった。
コロナ禍で街から人が減り、同誌の販売は厳しい状況にある。そんな中、クリスマスの思い出をつづるシリーズ最新作『ボブが遺(のこ)してくれた最高のギフト』(稲垣みどり訳、辰巳出版)を、「ビッグイシュー日本版」の販売者が取り扱うことになった。版元の協力で、定価(1760円)の半分が路上販売者の収入になる。「ビッグイシュー日本」の佐野未来さんは「5冊売れれば数日間は暖かい場所で寝食ができる」という。500冊限定だったが大きな反響があり、250冊の追加が決まった。(滝沢文那)=朝日新聞2020年12月19日掲載