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「ブラック霞が関」など注目の新書5選(朝日新聞2021年1月16日掲載)

『ブラック霞が関』

 国会対応や不祥事処理などで長時間労働が常態化している中央省庁では、休職したり退職したりする官僚が少なくない。厚生労働省元キャリア官僚の著者が、人手不足にあえぐ霞が関の危機的状況を報告。国民のための政策づくりにリソースを効率的に活用できるようにと働き方改革を提言する。
★千正(せんしょう)康裕著 新潮新書・858円

『スタンフォードが中高生に教えていること』

 米国の有名大学の傘下にある中高一貫オンラインハイスクールの校長が、同校の教育について語る。30カ国以上の約900人が学ぶ全米有数の進学校。設立15年の試行錯誤でたどり着いた生徒の力を引き出す授業の工夫や、リモートでの生徒指導が興味深い。
★星友啓著 SB新書・990円

『知事の真贋(しんがん)』

 新型コロナへの対応で注目される都道府県の知事。その「考え方やリーダーシップ」を前・鳥取県知事が検証する。政府方針は脇に置きPCR検査で感染を抑えた和歌山県知事、自粛要請に応じないパチンコ店を公表した大阪府知事、五輪優先で初動が遅れ「広報係長のような」東京都知事……と書く。
★片山善博著 文春新書・880円

『食料危機』

 コロナ以降、飢餓人口は世界で1億2100万人増加したという。高所得国の食料廃棄と表裏一体の問題を、食品ロス問題ジャーナリストが専門家へのインタビューを交えて解き明かす。おなかがすいたままで買い物に行かない、カット野菜を活用する、など無駄をなくすために今すぐできるヒントも。
★井出留美著 PHP新書・1045円

『アパレルの終焉(しゅうえん)と再生』

 シーズンごとにトレンドを仕掛けて買い替えをあおり、過剰に供給して過半が売れ残るアパレル業界はコロナ危機でどうなるのか。在庫処分の苦闘と危ぶまれる「正価」離れ、なぜ「販売職」は使い捨てになったのかなど、業界の実態をファッション流通ストラテジストがリポートする。
★小島健輔著 朝日新書・869円=朝日新聞2021年1月16日掲載