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「ニッポン巡礼」など注目の新書5選(朝日新聞2021年2月6日掲載)

『ニッポン巡礼』

 1970年代から日本に住み、古民家や地域の再生にも関わってきた東洋文化研究者が、能登半島や南会津など各地に残る「かくれ里」「忘れ里」を訪ね歩いた。美しく懐かしい写真の数々とともに、失われゆく昔ながらの景観と人々の暮らしへの痛切な哀惜の念を伝える。
★アレックス・カー著 集英社新書ヴィジュアル版・1540円

『誤読のイタリア』

 面識のない女性に声をかけるのが苦手な日本人から見ると、ちゅうちょなく女性に声をかけるイタリア人男性はナンパ師――。そんな異文化への偏った解釈について、日本文学研究家でイタリア人の著者が自身の体験から考察する。異文化を「正読」するためのヒントが得られる。
★ディエゴ・マルティーナ著 光文社新書・880円

『江戸問答』

 「壊れつつあるものを見ているまなざし」をとらえるのが重要だという江戸文化研究者と、「江戸の社会文化から今日に響きうる問答をおこそう」という編集工学者による対話。前著『日本問答』をうけ、面影、浮世、サムライ、いきをめぐって自在に展開される新たな「江戸文明」論だ。
★田中優子・松岡正剛著 岩波新書・1100円

『動物園・その歴史と冒険』

 古代の権力者の動物コレクションを起源とし、近代ヨーロッパで誕生した動物園。第2次世界大戦の悲劇を経て、現在の主流は環境を巧みに再現した「テーマ・ズー」だ。「支配をあらわす場」から「共生をあらわす場」へと変わってきた欧米や日本の施設の歩みを詳しくたどる。
★溝井裕一著 中公新書ラクレ・1012円

『絶対はずさないおうち飲みワイン』

 「ワインは語るものではなく、喜びをわかちあう飲み物」というワインジャーナリストが、長引くステイホーム期間中にネットで買え、家で気取らずに楽しめる税抜き2500円以内の50本のワインを紹介する。世界中に出回る偽造ワインの話題など、ミニコラムも充実。
★山本昭彦著 朝日新書・891円=朝日新聞2021年2月6日掲載