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「こどもSDGs なぜSDGsが必要なのかがわかる本」 大人になった時に地球は…

 SDGs(エスディージーズ)とは「持続可能な開発目標」と訳される言葉だ。貧困や飢餓、気候変動やエネルギー問題、技術革新にジェンダー平等など、世界共通の課題である17のテーマについて、2030年までに解決すべきものとして様々な努力目標が定められている。2015年に国連のサミットで採択されて以来、世界中で推進されており、メディアや広告などで一度は目にしたことのある言葉ではないかと思う。

 本書はそんなSDGsをこども向けに解説した一冊だ。平易な言葉でわかりやすく書かれているのはもちろん、「このままでは大人になったときに地球は立ち行かない!」という一文で始まっていることが示すように、読者が徹底的に“自分ごと”として捉えられるように編集されているのも特徴のひとつだ。

 例えば食品ロスの問題を説明しながら「ふだん食べものを残したり、捨てたりしていない?」と問いかけ、有名企業による児童労働を論じたページでは、「どうしてこどもは労働してはいけないのだろうか?」と問題提起し、搾取の構造などにつなげていく。SDGsとは国や企業だけの話でなく、私たち一人ひとりが取り組まねばならないものなのだ――と言ってもキレイごとに感じられてしまうかもしれないが、それは地球規模の問題と個々人のリアリティを粘り強く接続させることからしか始まらない、極めてタフな道のりだ。

 課題解決と経済活動を両立させることは簡単ではないし、高度な創造性やバランス感覚が求められるものでもあるけれど、そのためには発想や行動の基盤となる「OS(オペレーション・システム)」にSDGsの理念を落とし込んでいく必要があるだろう。絵に描いた餅と笑うことは簡単だが、こども向けの本書に「今までの大人は、後先を深く考えずに資源を好き放題に消費してきました。差別やイジメをなくすことはできませんでした」と書かせてしまった私たちの責任は限りなく重い。=朝日新聞2021年3月6日掲載

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 カンゼン・1430円=8刷5万5千部。2020年8月刊。担当者は、「子ども向けになりすぎないように注意した」。学校でSDGsを教えることも増え、親子で読まれている。

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