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「男が介護する」など注目の新書5選(朝日新聞2021年3月6日掲載)

『男が介護する』

 家族を介護する男性は100万人を超えるという。「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」を立ち上げて10年余り、「研究と実践の往復作業」を続けてきた立命館大教授が、豊富な具体例で現状と課題を示す。全国の男性介護者に連帯を呼びかけ、「介護のある暮らしを社会の標準に」と提唱。
★津止正敏著 中公新書・902円

『世界一ポップな国際ニュースの授業』

 直木賞作家が国際政治学者に聞く国際情勢の俯瞰(ふかん)的ガイド。映画を見る合間に仕事をするという藤原氏は、国際関係の力学を大胆に斬りつつ、関連の映画を紹介する。石田氏も「anan」の表紙モデルで日本人の自信がわかるとの持論で話を盛り上げる。
★藤原帰一、石田衣良著 文春新書・935円

『ヨーロッパ冷戦史』

 米ソを中心としたグローバルな冷戦史では、冷戦の「主戦場」であった欧州に関する最新の研究成果が十分に生かされていないと著者は言う。各国史の寄せ集めではなく、欧州の東西「陣営(ブロック)」に焦点を当てて、その対立と緊張緩和を、時系列に沿って描く。
★山本健著 ちくま新書・1320円

『古典籍の世界を旅する』

 明治以前の本で、半分は筆写本として伝わる「古典籍」。その世界に入って約50年の古書店主が、様々な出会いをつづる。最古のかわら版「大坂冬之陣図」や、シーボルトが薬の知識をまとめた『薬品応手録』の発見。「育ての親」となった古書業界の重鎮・反町茂雄の、晩年の姿も印象深い。
★八木正自著 平凡社新書・946円

『新しい世界』

 新型コロナウイルスの影響で今後、世界はどう変わるのか。ユヴァル・ノア・ハラリ、エマニュエル・トッド、ジャレド・ダイアモンドら識者16人にインタビュー。オンラインメディア「クーリエ・ジャポン」に掲載されて特に反響が高かった記事をまとめた。
★クーリエ・ジャポン著 講談社現代新書・990円=朝日新聞2021年3月6日掲載