春は出会いと別れの季節。およそ3年にわたってユニークな図鑑を紹介してきた連載「図鑑の中の小宇宙」も、今回で最終回となります。最後を飾るのは、こちらも2020年に創刊50周年という大きな節目を迎えた「学研の図鑑」シリーズの最新刊「学研の図鑑 スーパー戦隊」(2021年4月8日発売)です。
本書は、スーパー戦隊シリーズ第1作目となる「秘密戦隊ゴレンジャー」から最新作の「機界戦隊ゼンカイジャー」まで、45のスーパー戦隊を全網羅。およそ300人にものぼる戦士に加え、約270の強化形態、300以上のロボを収載しています。
さらに、当連載でも取り上げた「学研の図鑑 キン肉マン『超人』」に引き続き、図鑑としてのこだわりももちろん健在です。
かつて筆者も子ども向けのスーパー戦隊百科的な本を持っていたのですが、それらと同じように放送順で紹介していくのかと思いきや、本書はスーパー戦隊を「世界組織」「民間組織」「伝統組織」など組織形態で分類しています。スーパー戦隊全体を系統立てて見るのは、なかなか新鮮です。図鑑らしい「速さ比べ」や「大きさ比べ」といった見せ方も、“スーパー戦隊ユニバース”があったら……と想像がふくらみます。
そんなマクロ的視点を提供してくれる一方で、戦士一人ひとりについては趣味や特技などのプライベートの部分にまで踏み込んで紹介。「学研の図鑑」編集部によれば、一人ひとりの個性に焦点を当ててしっかり解説することで、ヒーローには決まった「型」はないということを示すと同時に、さまざまな個性を持つ戦士たちが一つになって戦うことで初めて敵が倒せるという、スーパー戦隊全シリーズに通底するテーマを示したかったといいます。
まさにそんなテーマの象徴的存在、合体ロボの解体新書ともいえる「合体相関図」も必見です。ロボット、乗り物、メカ生命体がどのように合体して一つのロボになるのかがひと目で分かるように作られています。
スーパー戦隊ファン必携であるのは言わずもがな、コミュニケーションツールとして一家に一冊置いておきたい図鑑。どのスーパー戦隊をリアルタイムで見ていたか、好きな主題歌などで話が盛り上がります。同世代はもちろん、親子世代でも楽しめるのは長く続くシリーズだからこそです。
そして学研さん、いつか魔法少女の図鑑もぜひお願いします!