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【検定百景#37】箸検定:本当に、正しく使えますか? 意外に知らない和の文化の基本

文:若林良 絵:Getty Images

【問題1】
手ではなく、箸で食器を手前に引き寄せることを何といいますか。

1. 寄せ箸
2. 引き箸
3. ひっぱり箸
4. 引きずり箸
5. 箸もち箸

 あ、これ、私も幼少期にやったことあるな……。今になって振り返ると恥ずかしいですが。しかし、この名前は知りません。というわけで、勘で答えたところ、間違っていました(笑)。

 こうしたマナー違反は「嫌い箸」と呼ばれ、ほかにも2本の箸を鷲づかみにする「握り箸」や、種類や材質の違う箸を一対で用いる「違い箸」などがあるようです。大人になってもやっている人はさすがにほぼいないでしょうが、しかし子どもに箸のルールを教える時、こうした呼び方を知っていると役に立ちますね。

【問題2】
伝統的な箸の持ち方で、正しいのは次のうちのどれですか。

1. 箸先を開いたときに、中指は上の箸の下につく。
2. 箸先を開いたときに、中指は下の箸の上につく。
3. 箸先を開いたときに、中指は、上の箸の裏側につく。

 うーん。言葉だけではよくわからないので、実際に家にあった箸を持ってきて、手先を動かしてみました。そして、「これかな……」と不安半分で回答したところ、なんとか正解していました。よかった。

 実はこれ、意外に間違いが多いようです。先述の「握り箸」などであれば明らかにおかしいと気づくとは思いますが、箸を平行に持つ「平行箸」(箸先が閉じられず、細かいものをつかみにくい)や、箸をクロスさせる「クロス箸」(同様に箸先が閉じられないため、細かいものをつかみにくい)などは一見そこまでの違和感はないため、こうした間違ったマナーが定着している人も少なくはないとのこと。

箸から人間力がジャッジできる?

 「このように、正しい箸の持ち方は意外に知られていません」と語るのは、検定を運営する日本箸文化協会代表の小倉朋子さん。トータルフードプロデューサーとして、「食」にかかわるさまざまな活動を行っている小倉さんですが、その中でも箸については、執筆や講演を行う過程で、思った以上に正しい使い方が知られていないことを痛感したといいます。

 「これは単なる技術の問題ではなく、その背後には家族で食卓を囲む習慣や、ひいては和の文化が正しく受け継がれていない状況が作用していると感じました」

 そうした問題意識から検定はスタートし、箸の使い方のみならず、和の文化や和食のマナーなどにもきっちり目配せをしているとのこと。技術をしっかりと定着させるために、たとえば最初の級である「箸ソムリエ ベーシック」では試験のみではなく、箸の知識の基本をマスターできるセミナーや、特製の箸のお土産などもセットになっています。

 「企業の採用でも、箸がちゃんと使えるかを見ることは少なくはありません。そうした小さなことで人間性がジャッジされるのはもったいないですし、日常でも焼き魚をきれいに食べることができたりすると、ちょっと嬉しいですよね」(小倉さん)

 試しに箸を持って、ちょっと動かしてみて「あれ?」と感じられた方は、いちど箸検定をチェックされてみてはいかがでしょうか。

 それでは最後の問題にチャレンジ!

【問題3】
手元箸の洗浄に関して、してはいけない方法は次のうちのどれですか。

1. 日本手ぬぐいでしっかり洗う。
2. 熱湯でしっかり洗う。
3. 食器用洗剤は使っても良い。

【正解】問題1=1、問題2=1、問題3=2