『10代のための読書地図』(本の雑誌編集部編)は、夏休みのおともに格好のブックガイド。
書評家の大森望、編集者の新井久幸、声優の池澤春菜が小・中・高の世代別に100冊をおすすめする座談会では「あんまり清く正しく生きてもしょうがないと思うので。(江戸川)乱歩から入ってちょっとおかしなほうへ行く道も残しておいてあげたい」「道を誤ることが大事(笑)」などとあやしいやりとりで楽しい。
書評家の杉江松恋は「これで困らない読書感想文の書き方」を寄稿。「読め読めと言いつつ、読んだら書けと命じるのは少し変ではないでしょうか。読むという行為に意味を持たせすぎ」と指摘しつつ、感想文のコツを伝授する。ほかに「友だち」「運動部」などジャンル別のおすすめ本、書店員らの「10代に読んでほしい本&読んでおきたかったと後悔した本」も。10代に売れている本を分析した章によると、SNSのTikTokが売り上げに影響を持つ存在になっているという。大人にも発見が多い一冊だ。(加来由子)=朝日新聞2021年7月17日掲載