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日本社会の「子育て罰」とは 注目の新書5選

「子育て罰」

 2人の子を持つ教育学者と貧困問題に詳しい社会福祉学者が、子育て世帯に冷たい日本の政治や制度、社会意識を「子育て罰」と名付け、この罰の除去が喫緊の課題だと訴える。罰には企業の女性差別や飲み会文化も含まれる。気づかないうちに罰の片棒を担いでいないだろうか。
★末冨芳(かおり)、桜井啓太著 光文社新書・1012円

「東映任俠(にんきょう)映画120本斬り」

 「昭和残俠伝」「緋牡丹(ひぼたん)博徒」など1960~70年代の映画を「輝く細部」に留意して紹介。鶴田浩二、高倉健、藤純子、そして山本麟一や天津敏ら名脇役の姿がよみがえる。デアゴスティーニ・ジャパン刊のDVDマガジンに寄せた解説を編集し、漏れた作品も加えた年別リストを収録。
★山根貞男著 ちくま新書・1210円

「たぶん一生使わない? 異国のことわざ111」

 「空が落ちてきたら皆に青い帽子ができる」「両方からくる肉の匂いがハイエナの足を折る」。世界のことわざを見渡し、古いものやレアなもの、面白いものを厳選し解説する。クイズ感覚で、日本の類似のことわざや意味を考えながら読むのも楽しい。
★時田昌瑞著 イースト新書Q・968円

「建築の明日へ」

 日本の建設業界は新しい建物を次々と造ってきたが、人口減少社会で未来をどう切り開いていくべきか。新しく造るのではなく、空いた建物を再び使えるように仕立てる活動など「生活者の希望を耕す」方向へのかじ取りを、東大特任教授の著者が国内外の事例をヒントに提案する。
★松村秀一著 平凡社新書・968円

『「うつ」の効用』

 精神科医である著者は、うつとは頭の独裁体制に心と体がストライキをしている状態であると説く。押さえ込もうとせず、うつが伝えてくるメッセージを読み解き、その人らしいあり方に生まれ直す精神療法を提唱する。既刊『クスリに頼らなくても「うつ」は治る』の改題新版。
★泉谷閑示著 幻冬舎新書・990円=朝日新聞2021年8月21日掲載