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「自意識とコメディの日々」 お笑いの道なき道ゆく熱い青春

 バナナマンや東京03の単独公演の構成作家として知られるオークラが自伝エッセー『自意識とコメディの日々』を刊行した。ブレーク前の若い芸人たちの「熱」と、1990年代から現代までのお笑いをとりまく状況の変化がよく伝わってくる一冊だ。

 お笑いが好きで、承認欲求が強く自意識の塊だったという著者は、一度は芸人として活動したもののうまくいかず、構成作家に転身。目標は「さまざまなカルチャーが融合するコントライブを作り上げる」こと。

 バナナマンの公演を見て衝撃を受け、なんとか一緒に仕事をしたいと熱望し、縁あって実現した設楽統(したらおさむ)との夢のような下北沢ご近所生活。おぎやはぎ、SAKEROCK、佐久間宣行らとの交流。コントや企画の面白さの分析。テレビの放送作家としての仕事も読み応えがある。正解のない世界で、挫折と成功を繰り返しながら、道なき道を進む若者たちの青春譚(たん)。本書を読んでお笑いに接すると、これまでとは違った景色が見えてくる。(加来由子)=朝日新聞2022年1月15日掲載