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R-18文学賞・上村裕香さん 「笑いは救いなんじゃないか」

上村裕香さん(右)と古池ねじさん

 第21回女による女のためのR―18文学賞(新潮社主催)の贈呈式が開かれた。大賞は上村裕香(かみむらゆたか)さんの「救われてんじゃねえよ」。難病の母を介護する女子高校生の日常が克明に描かれる。「明日の光も見えないような状況のなかで、それでも人は笑える。笑いは救いなんじゃないかということを書きたいと思ってきた」と話した。

 お笑い芸人の友近さんが選ぶ友近賞は古池ねじさんの「いい人じゃない」。シングルマザーの主人公をめぐる、欺き合う人間関係を描いている。古池さんは「(小説家という)厳しい世界にたまたま来てしまって大変おそろしい。でも、この厳しさの中にいることがすごくうれしいです」と語った。

 選考委員の窪美澄さんは上村さんの作品について「自分の内側をえぐるように文章を書いているのがわかる」。古池さんの作品は「人を食ったようなひょうひょうとしたおかしみがある」と評した。(田中瞳子)=朝日新聞2022年6月22日掲載