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進化という切り口から迫る「ウイルスとは何か」 佐藤健太郎が選ぶ新書2点 

『ウイルスとは何か』

  この3年間、ウイルスという存在は、世界の最大の関心事となってきた。長谷川政美『ウイルスとは何か』(中公新書・990円)は、このウイルスに対して、進化という切り口から迫っている。彼らは単に病気を引き起こすだけの厄介者ではなく、生物の進化にも大きな役割を果たしてきた。宿主となる動物の行動を操る恐ろしいウイルスもいれば、ヒトのDNAにもぐり込んで長年隠れ潜むものもいる。そして数千万種も存在するウイルスのうち、これまで登録されたのはわずか6590種に過ぎないという。この最も身近にして最も恐るべき隣人を、我々は何も知らないということを、改めて思い知らされる。
★長谷川政美著 中公新書・990円

『はまると深い! 数学クイズ 直感力・思考力を磨く』

  一方、横山明日希『はまると深い! 数学クイズ 直感力・思考力を磨く』(講談社ブルーバックス・1100円)は、奥深い数学パズルの世界を楽しく案内する一冊。油分け算、ナイトツアーなどの古典的パズルから最新の問題まで取り上げられており、この世界の奥深さを感じることができる。単に問題を出し、答えについて解説するだけではなく、その背景にある数学に触れられるよう、きちんと配慮されているのが嬉(うれ)しい。一人でじっくり取り組むのもよし、家族でワイワイと挑戦するのも楽しいだろう。
★横山明日希著 講談社ブルーバックス・1100円=朝日新聞2023年2月4日