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「くまの子ウーフ」神沢利子さんが99歳白寿の記念句集 「短いからこそ、大きな世界が詠める」

神沢利子さん=山田ルイさん提供

 「くまの子ウーフ」で知られる児童文学作家の神沢利子さんが1月、99歳の誕生日を迎えた。白寿を記念し、神沢さんが14歳から書きためてきた俳句をまとめた句集「冬銀河」を刊行した。版元の児童書専門店「こども冨貴堂」(北海道旭川市)が全国からの購入希望を受け付けている。

 6歳上の兄をまねて作句を始めた神沢さんは「歳時記をひきながら、独学で気ままに作ってきました」と話す。何冊もの句帳や手近な紙に書き留めてきたなかから長女の山田ルイさん(75)が選び、98歳までに詠んだ240句余りを収めた。

 年代で区切った章ごとに、ルイさんが当時の神沢さんの状況をつづっている。20歳で結婚し、式の2週間後に夫が出征。夫の復員後も経済的に苦しい状況が続くなかで神沢さんは結核に苦しむ。60代で乳がん、80代では大腸がんを患う。

 困難なときこそ、神沢さんは俳句とともにあった。乳がんの手術後には、〈片乳を月に放りて生きており〉。大腸がんの手術後は〈生きのびて二月の空の深さかな〉。悲嘆に暮れるどころか、静かに自らを見つめる姿が浮かぶ。神沢さんは「俳句は短いから良い。短いからこそ、大きな世界が詠めるような気がする」と語る。

 童話、詩集、エッセーと数々の作品を残してきた。ルイさんは「言葉をつかって楽しむのは母の人生そのもの。この句集を通して、母の長い人生にみんながもう一度出会い直してくれたらうれしいです」と話す。

 購入の申し込みは「こども冨貴堂」(電話0166・25・3169、メールkodomo-f@nifty.com)へ。(田中瞳子)=朝日新聞2023年4月5日