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絵本ナビ編集長おすすめの新刊絵本13冊は…? 「NEXTプラチナブック」(2023年5月選定)

【この記事で紹介する絵本】

ようこそ、タイクツの時間の中へ 『なんにもおきない まほうのいちにち』

『なんにもおきない まほうのいちにち』(作:ベアトリーチェ・アレマーニャ 訳:関口 英子/ポリフォニープレス)

毎日書きものをしているママの横で、ぼくは何時間でもゲームをする。いつもの通りママが怒り、ぼくが外へ出ると、雨の庭では世界中のタイクツがぼくを待ち構えている。おまけにゲームをなくしてしまった! ゲームなしで、ぼくはどうすればいい? 作者は世界が注目するイタリア生まれの絵本作家ベアトリーチェ・アレマーニャ。タイクツを持て余していた少年が、自然の不思議に出会って心が躍動していく様子を、美しく印象的に描き出します。

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編集長のおすすめポイント

したいことなんて、ゲームのほかには何にもない。ゲームなしでどう過ごしたらいい? そんな風に思っている子どもたちは、世界中にたくさんいるでしょう。でも、ためしに今手にしているゲームを置いて、タイクツの時間の中に飛びこんでみて!  何もすることがないって、すごいこと。タイクツにこそ、自由があるってこと。自分が動けば楽しみはいくらでも見つけられるってこと。そんな素敵なことに気づかせてくれる絵本です。大人にもおすすめ。

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あなたはあなたらしく、あなたのままで。『ぼくのスカート』

『ぼくのスカート』(文・絵:ピーター・ブラウン 訳・監修:日高 庸晴/小学館)

家の中を元気に走りまわるフレッドは、いつもはだかんぼ。元気いっぱいのびのび、フレッドって、今まで服を着たことないのかも!? でもある時、おかあさんのクローゼットの中にある服を見つけます。なんだかいい感じ。

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編集長のおすすめポイント

フレッドの個性とはなんでしょう。明るくぴょんぴょんはねまわること。元気いっぱい自由に振るまうこと。今の自分が好きなこと。そしてしっくりくるまで服を着ないこと。そんなフレッドが出会ったのは、おかあさんの服。自分を着飾り、おしゃれをすること。それがどんなに嬉しくて楽しいことなのか、フレッドの表情を見ていれば伝わってきますよね。フレッドがいつまでもフレッドらしくいられますように!

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それができていれば、大丈夫。『たべて うんこして ねる』

『たべて うんこして ねる』(作:はらぺこめがね/岩崎書店)

大きなハンバーグにごはんにお味噌汁。家族で囲む晩ごはん。ぼくは、思いっきりたべて、うんこして、ねる。生まれたばかりの妹も、一緒に暮らすねこもきんぎょも、みんなたべて、うんこして、ねる。公園に遊びに行っても、学校にいる時も。少し悲しいことや、寂しいことがあった時も、やっぱりぼくらは、たべて、うんこして、ねるのだ。

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編集長のおすすめポイント

大人はもちろん、どんなに小さな子どもたちだって、何事もなく一日を過ごすのはなかなか大変なことです。笑ったり、怒ったり、悩んだり、悲しんだり。そして、お腹がすいたり、トイレに行きたくなったり、眠たくなったり。それはもう忙しい毎日なのです。昨日と今日が全くおんなじこともあるし、昨日と今日が驚くほど変わってしまうことだってあるでしょう。でも、ご飯がおいしくて、うんこがちゃんと出て、朝までぐっすり寝られれば。この3つが出来ていればきっと大丈夫、多分ね。ああ、ハンバーグおいしそう!

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命の輝きに満ちた、ラッタ、チモ、アルノーたちの物語『あまがえるの たんじょう』

『あまがえるの たんじょう』(作:たての ひろし 絵:かわしま はるこ/世界文化社)

『あまがえるのかくれんぼ』『あまがえるのぼうけん』に続く、「3びきのあまがえる」シリーズ三部作の最後の作品は、ラッタ、チモ、アルノーたちの誕生と出会いまでの物語。水の中でぷかぷかと浮かぶたまごからかえったのは、小さなおたまじゃくしたち。彼らには、これから大変な試練が待ち受けているのです。

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編集長のおすすめポイント

澄んだ水の中で繰り広げられるのは、生きものたちの緊張感あふれる命を懸けたやりとり。どこまでもリアルに描かれるおたまじゃくしたちの生態。けれど不思議なことに、その描写が詳細になればなるほど、彼らが愛おしく見えてくるのです。体つきが変わっていく様子も、手足を使って奔放に動き回る姿も、仲間たちと遊ぶ表情まで。それこそ、かわしまさんの画家としての魅力そのものであり、このシリーズに惹きつけられる理由なのでしょうね。

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正反対の二人だけど…!?『ちらかしさんとおかたしさん』

『ちらかしさんとおかたしさん』(作:ふしみ みさを 絵:ポール・コックス/教育画劇)

仲良く家に帰ってきたのは、ちらかしさんとおかたしさん。二人は一緒に暮らしています。靴をポーンとぬいだあと、歩きながらぼうしやかばんをほうり出し、台所にかけこむちらかしさん。その後ろから全部ひろって片づけていくおかたしさん。そう、二人は正反対なのです。

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編集長のおすすめポイント

お庭の草をルーペ片手にピンセットで丁寧に取りのぞいていくおかたしさん、壁のあちこちに飛びちったトマトスープのしみでお絵描きを始めるちらかしさん。こんなに好きなようにふるまえるのは、お互いの前だからなのかもしれませんよね。そんなことを考えながら読むのも楽しい、とびっきり愉快な仲良し二人の物語。見返しには部屋の間取りのイラストも。会話がどんどん広がりそうな一冊です。

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家の中では、いつもいつも……『ねこは わたしの まねばかり』

『ねこは わたしの まねばかり』(作:クォン・ユンドク 訳:キム・ファン/あかね書房)

うちのねこは、おすましさん。呼んでもこないし、抱いてあげようとすると逃げる。知らんぷりすると、こっそり近づいてきて、私のまねばかりする。ずっと私のそばにいて、いつも私のまねばかり。だから、うちに誰もいなくても、私はちっとも退屈しない。私の友だちはねこしかいないし、ねこの友だちは私しかいない。でも、今日からは……。

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編集長のおすすめポイント

気がつけば、家の中ではいつも一緒のねこと女の子。こんなに大人しかったのに、女の子がねこのまねを始めたとたん、どちらも目はきりりと輝いて、堂々とした立ち姿に。 これには近所の子たちもびっくり、あっという間にふたりはみんなの先頭に立って走りだすのです。ねこと女の子、似たもの同士なのかもしれませんね。

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りんごは、どこからきたの? 『トラタのりんご』

『トラタのりんご』(作:nakaban/岩波書店)

トラタのもとにおじさんから届いたのは、りんごの苗と図鑑です。りんごが大好きなトラタは、ベランダで苗を育て始めます。夏になった頃、鳥の後を追いかけて不思議な庭に迷い込みます。そこにあったのはたくさんのりんごの木! トラタがりんごをかじってみると、お店で売っているりんごとは全くちがう味がして……。

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編集長のおすすめポイント

トラタが出会ったのは、見たことのない原っぱ、古そうな門、光がふりそそぐ庭、かがやくりんご。nakabanさんが絵本の中で描くのは、いつも知らない場所のようでいて、どこか懐かしい光に包まれた幻想的な景色。その中で出会うからこそ、忘れられない出来事になるのでしょうか。時を越えてトラタを魅了するりんごはどんな味がするのでしょう。知らず知らずのうちに、私たち読者も興味を持って考えだしてしまうのです。

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ちょっと困ったこともあるけれど……『とってもすてきなおうちです』

『とってもすてきなおうちです』(文:なかがわ ちひろ 絵:高橋 和枝/アリス館)

こんなに広くて、お部屋の数もたっぷりあって。夏はひんやり、冬はぼかぽか。時々ひっくり返されるのが困るけど、どうってことはありませんよ。自分のおうちを自慢しているのは誰でしょう。暖かな春の日差しに包まれて、ほんのり淡い色彩で描かれる生きものたち。お互いにちょっとずつ迷惑をかけあいながらも、みんながそれぞれ気持ちよく暮らしている素敵なわが家、きっとみんなも好きになりますよ。

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編集長のおすすめポイント

庭に住む生きもたちのおうち。普段そんなに気にもとめていなかったはずなのに、それぞれの視点から語られると、なんだかうらやましくなってくるから不思議。お隣にカフェもあるちょうちょのおうち、ダイヤモンドのくびかざりのようなクモのおうち。はちみつ色の日向がお気に入りなのは? 「居心地がいいから、ここに住んでいるのね」。みんなで一緒に暮らしている気持ちになれるのです。

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ふわりふわりと浮かぶ綿毛に魅せられて…『たんぽぽのふね』

『たんぽぽのふね』(作:まるやま あやこ/世界文化社)

たんぽぽの上に住む小さな女の子と小さな犬のぽぽん。ある日、ふたりはたんぽぽの綿毛がどこに飛んでいくのか知りたくなり、綿毛でできた空飛ぶ船を作りはじめます。ふわりふわりと浮かぶたんぽぽの綿毛に魅せられ、みちびかれていく幻想的な物語。

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編集長のおすすめポイント

ふわりふわりと飛んでいくたんぽぽの綿毛を見たことがある方なら、誰でも一度くらいは思うはず。「どこまでとんでいくんだろう」。けれど、実際に綿毛を束ねて、自分ごと一緒に飛んでいってみたい!なんて思いつくのが作家さんのすごいところ。さらにその空想の世界を、こんな風に絵本の中で実現させてしまうのです。たくさんの動物を乗せて、空にふわふわと浮かぶ白いたんぽぽの船を眺めながら、「絵本があってよかったな」と、思わずつぶやいてしまうのです。

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ゆっくりゆるーり、ゆるるるん。『でんでんでんしゃ』

『でんでんでんしゃ』(作:林 木林 絵:ひがし ちから/ひさかたチャイルド)

「みなさーん、あめの ひの おでかけは いかがですかー。おいそぎでない かたは どうぞ ごじょうしゃくださーい。」虫たちは、でんでんでんしゃに飛びのります。でんでんでんしゃは、ゆっくりゆるーん。歩いていくより遅くて、ケロケロタクシーが追い越していきます。時には道に迷って戻ることもあるけれど、でんでんでんしゃの進む道はどこも本当に素敵なのです。さあ、クライマックスは……!

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編集長のおすすめポイント

「はのうえ」「はのした」「ぽたぽたばし」に「あじさいトンネル」、いったいどんな風景が見えるのでしょう。「そろーりそろーり」「ゆるーりゆるーり」「ゆるん ゆるるるん」、どんな乗り心地なのでしょう。聞こえてくる音と、乗客のとびっきり可愛らしい虫たちの表情を見ながら、この優雅なおさんぽの感覚を想像してみれば、絵本の中の世界がもっともっと広がっていくはず。「そのままどうぞ、ごゆっくり」、いってらっしゃーい。

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ひみつのお話、おしえてあげる。『よつばのおはなし』

『よつばのおはなし』(作:かとう まふみ/佼成出版社)

「あなたはよつばを見つけたこと、ある? 」よつばを見つけるのが得意な女の子を通して語られるのは、もんしろちょうから聞いた、しろつめくさのふんわり優しい「ひみつの」お話。淡い色彩ではかなげな雰囲気に包まれたしろつめくさの原っぱを舞台に、しなやかで芯のあるよつばの子の心の成長が描かれます。

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編集長のおすすめポイント

一面に生えているしろつめくさの葉っぱ。普段なにげなく眺めていたけれど、絵本を読んだ後に見ると、途端に物語が浮かびあがってくるようです。小さい葉っぱ、色の薄い葉っぱ、折れまがった葉っぱ、そしてよつ葉! それぞれが「わたしを見て、わたしの話をきいて」と言っているみたい。たまには、じっくりのんびり耳を傾けてみるのもいいですよね。しろつめくさも、きっと喜んでくれるはずです。

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大好きだからこそ、その手を『リジーと雲』

『リジーと雲』(作:テリー・ファン、エリック・ファン 訳:増子 久美/化学同人)

リジーが選んだのは、ふつうのかたちの雲。でも、リジーにとっては最高のすてきな雲。ミロと名前をつけ、懸命にお世話をします。どんな時でも一緒のリジーとミロ。だからこそ、リジーが好きなことも、機嫌が悪い理由もわかるのです。その手を離さなくてはならないタイミングも……。

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編集長のおすすめポイント

雲と一緒にくらす。それも部屋の中で。考えもつかなかったことだけれど、絵本の中で、リジーとミロは実に仲良くやっているのです。水をかけてあげる時の反応は?大きくなってもミロはやっぱり軽いのかな? せまいところにいるミロは……。読んでいるうちに興味がとまらなくなって、最後のシーンはやっぱり少し寂しくなるのです。明日から空を見上げる習慣がつきそうですね。

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この村に、10年ぶりの……『ほしまつりがやってくる!』

『ほしまつりがやってくる!』 (作:杉田 比呂美/アリス館)

なにしろ10年ぶりの「ほしまつり」。村のみんなは、はりきって準備を始めます。衣装をつくって、ダンスの練習をして、あかりの準備もぬかりなく。ほかほかスープにほしがたパン、みんな喜んでくれるかな。ほしまつり、ほしまつり、わくわくするねえ。夜が更けた頃、村長さんは言います。「みなさん、いよいよ"ほんとうの"ほしまつりが始ります。」

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編集長のおすすめポイント

子どもはもちろん、大人だって、たまには浮かれてもいいんです。そしてその時間を、思いっきり堪能すればいいのです。だって、ずっと待っていたのはこの瞬間なんですから。そうやって、みんなが同じ気持ち、同じ目的で何日も過ごすって、そんなにあることじゃありませんよね。人がわくわくしている様子って、見ているだけでも嬉しくなってくるもの。そういう様子も含めて、子どもたちにとって大切な日なのです。そして、またいつの日か。

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絵本ナビ編集長がおすすめする「NEXTプラチナブック13選」はいかがでしたでしょうか。対象年齢も、あつかっているテーマもさまざま。気になった絵本があったら、ぜひ手にとってみてくださいね。絵本ナビ「プラチナブック」連載ページへ

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