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インド、トルコ……グローバル・サウスを考える2冊 詫摩佳代が選ぶ注目新書 

 グローバル・サウスと呼ばれる新興国の動向が注目を集めている。代表格ともいえるインドとトルコを知るための2冊を紹介する。

『インド グローバル・サウスの超大国』

 近藤正規『インド グローバル・サウスの超大国』(中公新書・1078円)は、近年、急速に発展を遂げてきたインドを内政と国際関係、経済といった多様な切り口で分析する。モディ首相のリーダーシップもさることながら、企業(グループ)やアカデミア、研究所といった多様なアクターがこの国の発展を支えてきたことがよくわかる。
★近藤正規著  中公新書・1078円

『トルコ100年の歴史を歩く 首都アンカラでたどる近代国家への道』

 今井宏平『トルコ100年の歴史を歩く 首都アンカラでたどる近代国家への道』(平凡社新書・1056円)は、首都アンカラに焦点を当て、トルコの政治外交と社会の変容を著者の滞在経験を交えて論じる。中東と欧州に挟まれたトルコが、国際政治の荒波に度々のみこまれつつも、力強く発展を遂げてきた道のりと現在地が描かれる。
★今井宏平著 平凡社新書・1056円

 改めて認識させられるのは、全方位外交を実践し発言力を高める両国が、いずれも地政学的な要衝に位置し、各国の複雑な相互依存関係の中で要の地位を占めていることだ。貧富の格差や急激な都市化、民主化といった内政課題を抱える点でも通じる。こうした現状を踏まえ、日本もグローバル・サウスとの付き合い方を戦略的に考える必要がある。=朝日新聞2023年10月14日掲載