『自転車に乗る前に読む本 生理学データで読み解く「身体と自転車の科学」』
屋外で体を動かすのにはよい季節になったが、本格的に運動するとなると、やはりハードルは高い。そんな方におすすめしたいのが高石鉄雄『自転車に乗る前に読む本 生理学データで読み解く「身体と自転車の科学」』(講談社ブルーバックス・1100円)だ。自転車に乗ることの身体へのメリット、自転車の選び方、どの程度の坂や速度が適切かといったことが、詳しいデータとともに解説されている。サドルの高低を調節するだけで、疲労感や運動強度が大きく変わるなど、目からウロコのデータが山盛りだ。無理なく運動したい人にとって、自転車こそは強い味方なのだと思えた。
★高石鉄雄著 講談社ブルーバックス・1100円
『ビジネス教養としての最新科学トピックス』
一方、茜灯里『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(インターナショナル新書・968円)は、気鋭の科学ジャーナリストによるコラム集。人工知能、ゲノム編集、ワクチン、核融合など、気になるテーマについてわかりやすい解説がなされている。各テーマ5分程度で読めるから、忙しい人にはありがたい構成だ。最先端の事柄ばかりではなく、「鬼滅の刃」に登場する青い彼岸花の実現可能性、実は残忍な一面も持つイルカの生態など、人に話したくなるような話題も多数収載されている。タイトルにはビジネス教養とあるが、幅広い層に読んでもらいたい一冊だ。
★茜灯里著 インターナショナル新書・968円=朝日新聞2023年11月11日掲載