今年も残すところ約1カ月! 毎度おなじみの年間マイベストの回がやってきました! 毎度のことながら2024年も多種多様な作品が登場しましたね。今回はいずれも「続きが気になる!」というこれからが楽しみな物語をチョイス。そして偶然か僕の癖なのか……個性際立ちまくりのファンタジー作品が集まりました(笑)
井上將利が選ぶマイベストBL3選【2024年】
朝田ねむい「鷹虎くんとオメガたち」
最初に紹介するのは、朝田ねむい先生によるオメガバース作品「鷹虎くんとオメガたち」です。
※「オメガバースって何?」という方は、こちらの記事をご参考ください!
「オメガバース」とは? BL担当書店員がすすめる入門作品2選
【あらすじ】
将来有望な有力者の子息が集まる歴史ある学園。そこのエリートコースとも言える”α特進クラス”に通う熊獅子鷹虎は、学園の中でも随一の名家の跡取り息子である。頭脳、体格、容姿にも恵まれた圧倒的なカリスマ力で、学園で知らない者は唯一人としていない。そんな鷹虎が、ある日体調に異変をきたすとΩの特徴である「ヒート(発情期)」のような症状が出てきて……!?
「鷹虎くんとオメガたち 1」作品紹介より
もう作者の魅力全開です。どこかクールな作画のキャラクター、心をざわつかせる物語の雰囲気作り、まさに唯一無二ですね。圧倒的カースト上位の鷹虎がΩと判明して地に落ちる無慈悲な様も見応えがありますが、そこで折れないぶっ飛んだ精神力に思わず惹かれます! マイノリティや社会的弱者、差別、搾取、あらゆる理不尽にズバズバ切り込んでいく注目の1冊です!
山中ヒコ「后と河」
そして次にご紹介するのは山中ヒコ先生の「后と河」。今度は後宮を舞台にした中華ロマンBLということで、これまた美しい……!
【あらすじ】
洪水が繰り返し襲う時代。その度に命を落とす人々を見て心を痛め、河工事を必死に上奏し続けた王佳(おうけい)。しかし、周囲からは理解されず、「変わり者の若様」と噂されていた。
ある日、王佳は皇帝から「妃」として召し上げられることに。それは、王佳の上奏書を目にした皇帝が、身分差を超えて彼と語り合うための計画だった。納得した王佳は妹の名を借りて入内するが、形だけの関係と思っていたのに、夜伽まで求められ……!?
やっと手に入れたから、もう離してはやれない――。不器用なほど一途に、必死に願いを叶えようとする二人の壮大なラブストーリー!
「后と河1」作品紹介より
ひた向きな姿勢の王佳と、完璧主義でどこかミステリアスな皇帝。キャラクター設定のコントラストが巧みで、登場人物を際立たせる作風は必見です。さらに、人間味あふれる人物描写に惹き込まれます。壮大な世界観の中で、地位や立場、本来歩む道すら交わらないはずの二人の愛が緻密に描かれていきます。この二人の想いの強さにぜひ触れていただきたい!
吾妻香夜「灯台守とかもめの子」
さぁ、いよいよ最後の作品。ご紹介するのは吾妻香夜先生の「灯台守とかもめの子」です!
【あらすじ】
「ルネ──お前の名はルネにしよう」
クレール島の沖の岩礁にそびえる灯台で、灯台守エヴァンは独り暮らしている。
ある嵐の夜、一艘の小舟が灯台へ漂着した。小舟に乗っていたのは、瀕死のかもめの雛。懸命に介抱したエヴァンだが、翌朝にはかもめの姿が消え、代わりに目にしたのは、翼を持つ小さな子どもだった!
『ルネ』と名づけられたその子は人の形をしていながら人ではなく、驚くほど成長が早い。しかも、ルネとの出会いに呼応するように、エヴァンの体にある変化が生じて……?
人に恋するかもめと孤独な灯台守の邂逅が織りなす、奇跡の求愛譚が始まる──
「灯台守とかもめの子1」作品紹介より
まずは子供から大人へどんどんと成長するルネと、逆にだんだん若返っていくエヴァンという不可思議かつ現在進行形でビジュアルが変化する二人に注目です。ちっちゃいルネも可愛いですが、おてんばで、はつらつとした彼がそのまま大きく成長する様子(すごいスピードですが笑)には何だか愛おしさを感じました。そして兎にも角にも、絵が上手過ぎる……! 映画のような作品の奥深さにぐいぐい惹き込まれるファンタジー要素満載の本作ですが、ここから物語も大きく動き出しそうな予感。ルネが何者でエヴァンの過去に何があったのか、続きが楽しみな1冊です!
さて、今回はとにかく続編が待ち遠しい3作品をご紹介しました。どの作品もイチオシ&必読の注目タイトルですので、ぜひ今年のうちにチェックしてみてください!