
読者のマイベスト本
君嶋彼方『一番の恋人』
恋愛感情で結ばれない二人の感情が細かく表現されていて、自分自身の気持ちについてとても考えさせられる内容でした。恋愛感情で結ばれていなくても、お互いの想いは変わらず前に進んでいく姿に私自身も励まされた気持ちになるのでおすすめです。=マルシェシさん
樋口一葉『全集樋口一葉 3 復刻版 日記編』
「5000円札の人」。私は一葉のことをその程度にしか知りませんでした。しかし、ある日、久保田万太郎による一葉の日記の紹介文を読んで目から鱗が。そこには、一葉が生活苦で一時期荒物屋をしていたこと、そしてそれが後の作品作りに活きたことが記されていたのです。実は、本に携わる仕事をしている私も、本作りの新たな局面に直面し、悩んでいる真っ只中。そんな私にとって、どんなときも書くことをあきらめなかった一葉の姿は輝いて見えたのです。「日記そのものを読んでみたい!」と本書を手に取りました。本書には、明治時代のささやかな1日1日の生活が丹念に記されています。天気から始まり、新聞で報じられたニュース、妹とどこへ出かけたとか、何時に寝たとか、図書館へ行って何を借りた/読んだなど。会話もふんだんに盛り込まれており、一葉が伝説上の人物ではなく実在の人物であることや、人間味あふれ、情に厚い人物だったことが伝わってきます。一葉だけではありません。師とされる半井桃水や文學界の同人たちが活躍する世界がそこには広がっています。文学や書くことへの情熱を抱き続けること、そして信念を貫くことへの背中を押してくれる1冊です。=かなこさん
朝井リョウ『生殖記』
成長、発展を常に目指すのが当然という社会観に疑問を呈した一作。前作の正欲と同じく頭を殴られるかのような強烈な読書体験でした。個人的には、人生で初めて作家さんのサイン会に参加でき、お互いに健康でいましょうねと誓い合う?ことができたのもすごく心の支えになり、思い出の一作です。 =雪だるまさん
柴崎友香『あらゆることは今起こる』
時間の捉え方、世界の感じ方が他者と違う…
その生きづらさが、丁寧だけど重すぎない文体で描かれます
鋭い視線の中にユーモアもあり、著者と雑談するかのように読めました。=ふっかーさん@FUKKA_Revive
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