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(本の舞台裏)「日本古書通信」が年内で終刊

「日本古書通信」

 「古本屋と読者を結ぶ趣味と実益の雑誌」とうたう月刊誌「日本古書通信」が、今年12月号で終刊となる。1934(昭和9)年の創刊から91年間、通巻1157号だ。

 古書店の目録に加え、古書をめぐる随筆や研究を載せてきた。柳田国男や金田一京助も書き、連載をしたのは斎藤昌三、柴田宵曲(しょうきょく)、森銑三や青木正美、出久根達郎、岡崎武志ら各氏。小金井喜美子『鷗外の思い出』や小田光雄『古本屋散策』など、本になったものも多い。

 インターネットの普及で古書目録が激減し、古書をとりまく環境が変わり、定期購読者が最多時の5分の1になって終刊の判断に至ったという。

 79年に入社し、2008年から編集長をつとめる樽見博さん(70)は、「忸怩(じくじ)たる思いと安堵(あんど)感の両方です。終刊を機に、創刊号以来の記事を国会図書館デジタルコレクションで公開することを考えています」と話す。

 これから10、11、12月号が出る。1冊850円。問い合わせは日本古書通信社(kotsu@kosho.co.jp)へ。(石田祐樹)=朝日新聞2025年104日掲載