どこかで見たことがあるような、何かが落ちている。うーん、これなんだっけ……?
本紙beのイラストを担当している深川直美さんの絵本「これなんだっけ?」(偕成社)は、実体験から生まれた。
絵本は動物園にやってきた親子が、地面に落ちている妙なものを見つけるところから始まる。正体を推理していると「それ、わたしのです」。意外な持ち主にびっくり。次々登場するふしぎな物体が何か、つい一緒に予想してしまう。
きっかけは数年前、自宅に落ちていた「透明なドーム状の物体」だった。何かのメーターのカバーだろうか。……もしかしたら子どもが勝手に持って帰ってきたのかも。考え込んでいると、壁にかけてある懐中電灯の電球を覆うカバーが外れているのが目に入った。「これか!と。その瞬間、不安に思っていた世界が全部崩れ去って、これは面白いと思った」
想像をめいっぱいふくらませた後に、事実がわかって世界の見え方がガラッと変わる。その面白さを絵本に込めた。「特別な世界で起きる特別な出来事よりも、ありきたりの世界で起きる、世界が変わって見える瞬間が好きなんです」(松本紗知)=朝日新聞2026年5月30日掲載