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国立歴史民俗博物館「近代」常設展示室リニューアル 私のくらしと歴史、どう関わる? 

戦前のお茶の間を再現した展示に「二十四時家庭双六」が置かれている

 国内最大級の歴史系博物館、国立歴史民俗博物館(歴博、千葉県佐倉市)で、「近代」を扱う常設展示室が3月にリニューアルした。様々な立場の個人の視点をベースにした展示にし、訪れた人が「自分と歴史がどう関わるか」を考えてほしいという。

 丸いちゃぶ台に火鉢やガラス棚が置かれた畳の部屋。一家だんらんの声が聞こえてきそうな、戦前の住宅を再現している。明治後期に婦人雑誌の付録として作られた「二十四時家庭双六(すごろく)」(複製)も置かれている。

 午前5時の「開門」から午後10時の「上(あが)り おやすみなさい」まで32マスあるすごろくは、都市の若い主婦の1日を描く。描かれている和やかな日常に、今日の視点から見て気づくことがある。32マスのうち、夫が登場するのは出勤や帰宅など5マスのみ。炊飯や買い物、裁縫といった家事はほぼ主人公の主婦が手がけている。

 「これで遊んだ子どもたちは、『私も将来はこうなるのかな』と考えたかもしれないですよね」と、リニューアルにかかわった歴博の大串潤児教授(日本現代史)が話す。「他にも、ちゃぶ台にはどんな食事が並んでいたのか、その食材はどこから来たのか。そうやって問いが広がっていく」

 開室から33年を経てのリニューアル。最新の研究成果などをもとに、「〈国民〉の誕生」「近代化する人びとのくらしと仕事」「〈帝国〉日本の社会と人びと」の三つの柱で展示を再編した。

 明治以降の「国民化」の経験が、日本や植民地の人々の暮らしをどう変えたのか。女性、植民地朝鮮の人びと、アイヌ民族の人びと、子ども……。個人の経験を伝える展示からどんな「歴史」が見えてくるのか。「『ストーリー』を無理に作るのではなく、多元的な問いを発する展示をめざした」と大串さん。そうした個人の経験は、近代日本で形成された「国民」というアイデンティティーとどう関わり、戦争の時代をどう歩んできたのか。歴史の大きな潮流に対して、再び問いを投げかけることも狙いだという。

 開館午前9時半~午後5時(入館は4時半まで)。入館料900円(大学生500円、高校生以下無料)。原則月曜休館。(平賀拓史)=朝日新聞2026年6月3日掲載