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「ミレニアル起業家の新モノづくり論」 機能より「ストーリー」重視の世代

ミレニアル起業家の新モノづくり論 [著]仲暁子

 「ミレニアル世代」はアメリカ発の言葉で、日本では「ゆとり・さとり世代」と近い。年齢でいうと20代、30代で、インターネット親和性をベースに、「それまでの世代と行動様式が大きく異なる」人たちを指す。
 2010年にビジネスSNSの会社を起業した著者は、まさにミレニアル世代。本書では「なぜ日本から世界で活躍できる企業が減っているのか」という問いを設定し、「消費や労働の主役となるミレニアル世代への理解不足」ゆえに市場攻略ができていない、と喝破する。
 では、ミレニアル世代の特徴とは? 「所有よりアクセス」「コスパ重視」など八つが本書では挙げられているが、つまるところ、機能よりも「ストーリー/Whyを消費し、そのために働く」原理を持つ人々だ。例えばiPhoneでは機能以上に、「iPhoneを持っている、イノベーティブでスマートなイケてる自分像」を買っている。そこが分からず、「あんなの、技術的に簡単」というおじさんエンジニアは、まだ日本に多いのだが。
 消費者に効くストーリーを描くには、その前提となる価値観を知らねばならない。その点で、示唆に満ちた本だ。=朝日新聞2017年10月15日掲載