40歳が社長になる日 [著]岡島悦子
「新卒が辞めない」「離職率は3%」「社員の満足度が高い」……と聞けば、理想的なホワイト企業と思いきや、著者によると、それは「危ない」会社。なぜなら、「こういう組織は環境変化に弱い」から。結果、企業の成長に欠かせない破壊的イノベーションが起こせず、時代の波にのまれてしまう。
そうならぬ処方として、2025年に40歳社長が輩出する「サクセッション・プランニング(後継者育成計画)」の重要性を著者は訴える。
25年に40歳になるのは、現在32歳のITネイティブ世代。「インターネット、AI、ロボット、自動運転、ブロックチェーンはじめ、これからのビジネスにはテクノロジーの本質的な理解が欠かせない」。そんな時代環境の中で、企業はITネイティブ世代を、20代のうちから、どんどん抜擢(ばってき)する必要がある。年功序列なんて言っていられないのだ。
これは新興企業ではすでに自明のことだが、課題は日本の既存企業での実現にある。その場合、若い世代の抜擢に伴う40歳以上の人たちの反感など、ネガティブ要因をどう調整していけばいいか。“40歳社長輩出論”には納得するが、あと一歩踏み込んだ事例分析も知りたい。=朝日新聞2017年9月3日掲載