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「誰が日本の労働力を支えるのか?」 人工知能にも着目、厳しい見通し

誰が日本の労働力を支えるのか? [著]寺田知太、上田恵陶奈、岸浩稔、森井愛子

 2030年までに、日本は14年度に比べて700万人の働き手を失うという。不足した労働力をどう補うか。野村総研の著者らは解決策として外国人労働力と人工知能などデジタル労働力に着目した。
 統計からは不都合な情報も明かされる。たとえば外国人にとって働く場所としての日本の魅力は61カ国中52位と低い。給与も高くないうえ、労働時間は長い。また日本と同じく高齢化が進む中国などの人口大国でも労働力は不足していく。海外から人材を得るのは厳しくなる見通しだ。
 一方、デジタル労働では、英オックスフォード大との共同研究で、日本で労働者は49%が人工知能やロボットに代替できると指摘。その100種の職業もリスト化されているが、事務職の多くが機械化され、会計士などの専門職も安泰ではないという。代替が難しい仕事は「創造性」「ソーシャルインテリジェンス」「(臨機応変に対応できる)非定型」の三つの特性が挙げられているが、誰もが身に付けられるかと言えば、なかなか難しいのが実際だろう。
 十数年後の話として厳しい見通しが並ぶが、著者らは生き抜くために選択する力をもてと記す。のんびりした連休ボケが吹き飛ぶ内容だ。=朝日新聞2017年5月7日掲載