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深緑野分「分かれ道ノストラダムス」書評 大予言の年の不可解な事件

評者: 末國善己 / 朝⽇新聞掲載:2016年11月13日
分かれ道ノストラダムス 著者:深緑野分 出版社:双葉社 ジャンル:小説・文学

ISBN: 9784575239867
発売⽇: 2016/09/23
サイズ: 20cm/333p

分かれ道ノストラダムス [著]深緑野分

 『戦場のコックたち』が高く評価された著者の新作は、ノストラダムスの大予言が注目を集めていた1999年の日本を舞台にした青春ミステリーである。
 高1のあさぎは、2年前に死んだ友人・基(もとき)の祖母から、日記を渡される。基は日記の中で、両親が事故死しなかった世界を夢想していた。あさぎも同級生の八女(やめ)の助けを借り、基の命を救う思考実験を始める。
 その頃、あさぎの周囲では、大予言を信じるカルトが騒動を起こし、八女の友人で熱帯魚ショップを営む久慈が失踪するなど、不可解な事件が連続していた。
 どんでん返しが連続し、無関係に思えたエピソードがつながる怒濤(どとう)の展開は圧倒的。その中に、派手な活劇や淡い恋なども織り込まれており、ページをくる手が止まらないだろう。
 人生の岐路は、誰にも訪れる。それだけに、事件に巻き込まれ様々な選択を迫られるあさぎが、迷いながらも進むべき道を決める終盤は、感動も深いはずだ。