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長嶋有「愛のようだ」書評 不器用で繊細な恋愛小説

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2016年01月17日
愛のようだ 著者:長嶋 有 出版社:リトルモア ジャンル:日本の小説・文学

ISBN: 9784898154243
発売⽇: 2015/11/20
サイズ: 19cm/179p

大切なものを失う悲しみを、まっすぐに描いた感動作。40歳にして免許を取得した戸倉は、友人須崎、その恋人琴美の3人で、伊勢神宮へドライブに出かけた。本当の願掛けにいくのだ。…

愛のようだ [著]長嶋有

 不器用で繊細な恋愛小説だ。中年になって運転免許を取得したフリーライターの戸倉が、友人の恋人でがんを患う琴美に対して「いきなり生じた変な気持ち」に戸惑う。
 物語の舞台のほとんどは、友人や仕事仲間を乗せて遠方に向かう車中。追い抜かれたバイクの美女の話で盛り上がるなど、たわいない会話のやりとりが、それぞれの人生の一場面を鮮やかに浮かび上がらせる。誰に対しても目の前の態度を「面白く受け止めてきただけ」だった戸倉は、同乗者に起こるある出来事を機に、琴美への思いを自覚していく。
 物語を彩る車内のBGMも魅力的。終盤、大きな喪失を表現する意外な曲には胸を締め付けられた。(リトルモア・1296円)

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