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どう作られ、保持されるのか

記憶をコントロールする 分子脳科学の挑戦 (岩波科学ライブラリー) 著者:井ノ口 馨 出版社:岩波書店 ジャンル:自然科学・環境

価格:1296円
ISBN: 9784000296083
発売⽇:
サイズ: 19cm/123p

記憶は脳のどこにどのように蓄えられるのか、短期記憶と長期記憶の違いは脳のどのようなメカニズムに由来するのかといった疑問に丁寧に答える。さらに、記憶研究から見えてきた人間の…

評者:福岡伸一 / 朝⽇新聞掲載:2013年06月30日

記憶をコントロールする―分子脳科学の挑戦 [著]井ノ口馨

 「記憶は死に対する部分的な勝利である」とはカズオ・イシグロの名言である。記憶だけが、流転し消滅しつづける世界に私をつなぎ止め、私が私であることを示してくれる唯一の証(あかし)。では記憶とは何か。著者は最初、この問いを哲学から考えようとし、ついには脳のシステムとして捉えなければならないと思い詰め、米国に旅立った。私たちが何かを体験すると、脳の海馬でシナプスが回路を作る。それが記憶の元型となる。そして、ここからが重要なのだが、海馬で作られた記憶は、大脳皮質に書き写され、海馬の方はクリアされる。しかも、大脳皮質に保持された記憶の回路は、思い出すたびにいったん不安定化され、再度、固定化されることも明らかになった。記憶の美化や目撃証言の信憑性(しんぴょうせい)、あるいは意識とは何かまで議論は及ぶ。本書は、著者の一匹狼(いっぴきおおかみ)的な個人史の道のりを縦軸に、脳科学の展開を横軸として描かれた、最も新しい記憶研究の見取り図である。語り口も平易。
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 岩波科学ライブラリー・1260円