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都市の可能性を発見できる場

路地裏が文化を生む! 細街路とその界隈の変容 (青弓社ライブラリー) 著者:増淵 敏之 出版社:青弓社 ジャンル:社会・時事・政治・行政

価格:1728円
ISBN: 9784787233462
発売⽇:
サイズ: 19cm/234p

都市開発によって都市空間の片隅に追いやられた路地裏とその周辺の変遷を考察。若者文化を育みサブカルチャーを発信する力や、人材・コンテンツを創造する力を路地裏に見いだし、地域…

評者:田中優子 / 朝⽇新聞掲載:2013年01月20日

■路地裏が文化を生む! [著]増淵敏之

 「拡大するだけが都市の美徳ではない」。そのとおりである。本書はその思想を背景に、拡大しない「路地裏(バックストリート)」から都市を見た。新宿、渋谷、六本木、原宿、下北沢、秋葉原、吉祥寺、道頓堀、ミナミ、京都、札幌、広島、福岡が、路地と音楽と文学とタウン誌と劇場とカフェから見えてくる。現状ばかりでなく、その変化の歴史も綴(つづ)られる。つまり、路地裏を文化の場として捉(とら)えたとき、そこには金太郎飴(あめ)化している都市への絶望ではなく、新しい可能性が発見できるのだ。
 都市、文学、音楽、メディアは別々に論じられているが、しかし「場」から考えるとそれらはともに存在し、相互に関わり合いながら生み出されてきた。そこに私たちは「居場所」をみつけ、消費者であるとともに創造者となり、都市の文化を作ってきたのではないか。インターネットが仮想の場を構築しつつある今、本書は個々の場所の歴史を確認しつつ、そのことを思い出させてくれる。
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 青弓社ライブラリー・1680円