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事件を解決に導く推論の応酬

赤い糸の呻き (創元推理文庫) 著者:西澤 保彦 出版社:東京創元社 ジャンル:SF・ミステリー・ホラー

価格:842円
ISBN: 9784488438111
発売⽇: 2014/06/21
サイズ: 15cm/312p

白昼、自宅で新聞紙を鷲掴みにして死んでいた男の身に何が起こったのか―。音無美紀警部のぬいぐるみへの偏愛と、事件の対比が秀逸な、犯人当てミステリ「お弁当ぐるぐる」。不可能犯…

評者:逢坂剛 / 朝⽇新聞掲載:2011年10月09日

赤い糸の呻き [著]西澤保彦

 カルトなファンが多い本書の著者は、ミステリーに本来なじまないSF的な展開や、超論理的解決を持ち込んだことで、評価が分かれるかもしれない。それを新しい工夫とみるか、アンフェアな手法とみるかは、読者の判断にゆだねられるだろう。
 ただし、この作品集はそうしたSF的手法を用いず、純粋のパズラーになっている。都筑道夫の「退職刑事」シリーズを思わせる、対話中心の構成をとる。つまり、もっぱら対話者の推論の応酬によって、事件を解決に導く〈安楽椅子〉ミステリー、といってよかろう。ことに、表題作の「赤い糸の呻き」は、論理の逆転に逆転が続いて、大いに楽しめる。
 特筆すべきは、登場人物の会話が生きいきして、眼前にその場面が浮かび上がることだ。実のところ、小説の会話は現実のそれとは違うものだが、近年は両者が限りなく近づきつつあり、本作品集はその一致を巧みにやり遂げた好例、といっていいだろう。
    ◇
 東京創元社・1785円