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整理巧みに白熱の臨場感

現代文明論講義 ニヒリズムをめぐる京大生との対話 (ちくま新書) 著者:佐伯 啓思 出版社:筑摩書房 ジャンル:新書・選書・ブックレット

価格:950円
ISBN: 9784480066145
発売⽇:
サイズ: 18cm/300p

現代の社会の抱えるさまざまな難問について、京大生に問いかけ、語り合う討論講義を書籍化。アポリアの深層にあるニヒリズムという病を見据え、それを乗り越えるべく、日本思想のもつ…

評者:松永美穂 / 朝⽇新聞掲載:2011年08月07日

現代文明論講義―ニヒリズムをめぐる京大生との対話 [著]佐伯啓思

 副題が示すとおり、大学での講義が一冊にまとめられている。昨年評判になった「ハーバード白熱教室」にヒントを得た、対話形式での授業。学生の意見に教師が入れる突っ込みも面白く、交通整理も巧み。自分もその場にいるような気持ちで読み進むことができた。
 現代社会を覆うニヒリズムを考察する授業だが、「なぜ人を殺してはいけないのか」「沈みゆくボートで誰が犠牲になるべきか」という普遍的な問いかけから、話題はやがて民主党の政策や尖閣諸島問題に移っていき、タイトルから想像する以上に現代日本をめぐるアクチュアルな議論が展開される。民主主義に基づく政治制度や憲法の平和主義について、その賛否を学生に問い、答えの分布が示されている点が興味深い。少数派の意見も丁寧にすくい上げられている。最終講で扱われるニヒリズムの克服の可能性については、やや不完全燃焼感が残り、「補講」を期待したいところだ。
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 ちくま新書・924円