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所変われば変味も美味に 「変味を味わう」本

 「好書好日」では、「味わう」をキーワードに、食に関する本を折にふれて取り上げています。近年、小説や漫画で美味しそうな料理が出てくる作品が花盛りですが、一方で、世の中には変わった味を求める御仁も多いようです。そんな「変味」に関する本を集めてみました。合言葉は「所変われば変味も美味に」。さあ、あなたも食の冒険へ。

  1.  不味い!(新潮文庫)
  2.  人生が変わる! 特選 昆虫料理50(山と渓谷社)
  3.  世界のへんな肉(新潮社)
  4.  ソウルフード探訪 東京で見つけた異国の味(平凡社)
  5.  決定版 天ぷらにソースをかけますか?(ちくま文庫)

(1)不味い!
 「食の冒険家」として知られる著者が、美味いものを追い求めた過程で出くわした「不味い」食べ物を紹介。観光地のお膳に始まり、病院食や給食、ホテルの朝食やティーバッグなど、身近に出くわす「不味い」ものが次々に登場します。怒りと共に繰り出される「なぜ不味いのか」の分析が秀逸で、発酵学の権威ならではの科学的(?)うんちくを楽しめます。

(2)人生が変わる! 特選 昆虫料理50
 なにかと話題の昆虫食。近未来の食糧不足の救世主とも言われますが、どこから手をつけていいのかわからない人にピッタリの本。タイトル通り、50の昆虫料理がレシピとともにフルカラーで掲載されています。素材にはぎょっとしても、いざ料理になってしまうと目にやさしく、後は舌で味わうだけです。といっても原形をまんまとどめている料理もありますが…

(3)世界のへんな肉
 うら若き女性が、世界一周の旅の過程で牛豚鳥以外の動物たちを食べまくります。キリンのジャーキー、トナカイのカルパッチョ、アルマジロのブラウンシチュー……。といっても、あえてゲテモノを選んでいるわけではありません。いずれもかの地で珍しくもない食材なのです。さっきまで働いていた動物が次の瞬間に食卓に上る、そんな場面転換が鮮やかな紀行文です。

(4)ソウルフード探訪 東京で見つけた異国の味
 日本人の「故郷の味」がご飯とみそ汁ならば、外国人にとっては何だろうとの疑問を胸に、著者が各地を訪ね歩きます。ただし「東京で」というルールで。江戸川区西葛西のインド料理店に始まり、取材した32の国・地域の「魂食」は実に多彩、同時に都内だけでも多様な外国人コミュニティーがあることに気づかされます。

(5)決定版 天ぷらにソースをかけますか?
 タイトルをみて「ありえない!」と思われた方こそ手にとっていただきたい、食の常識を覆す好著です。「納豆に砂糖」「カレーの卵は生?ゆで?」といった地域ごとに異なる嗜好の違いがネット調査によって次々と明らかに。東西の違いだけではなく、嗜好の飛び地があったりして、日本の食文化の多様性をしみじみ感じることができます。