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「新たな近代」創造に期待 末近浩太さん「イスラーム主義」

末近浩太さん

 今年1月、岩波新書で「イスラーム主義」を出版。6月には現代中東のイスラム主義思想と運動についての研究が評価され、第33回大同生命地域研究奨励賞を受賞した。
 「イスラーム主義」とは、イスラムの教えに基づく社会変革や国家建設を目指す政治的イデオロギーを指す。「20世紀初頭のオスマン帝国が崩壊する過程で、西欧の植民地支配や近代化に抗し、政治と宗教の関係を問い直して『あるべき秩序』を求めて生まれたのが、イスラーム主義です」と説明する。
 「イスラーム主義」をイスラム原理主義やテロリズムと同一視することを戒める。「本流のイスラーム主義は、西欧の民主主義と折り合いをつける努力を続けてきた」と考えるからだ。選挙の候補者に女性を増やすイスラム主義政党もあるし、チュニジアなど民主主義的制度を一定程度導入している国もある。
 「イスラーム主義は、西欧的近代とは異なる『もう一つの近代』を模索してきた。双方が対話を通して合意を形成し、新たな近代を創造していく可能性を期待したい」(池田洋一郎)=朝日新聞2018年8月29日掲載