豊臣秀吉の朝鮮出兵を巡り、東アジアで交錯する人物を描く歴史小説「天地に燦(さん)たり」(文芸春秋)で今年の松本清張賞を受賞し、作家デビューした。一度応募し落選したが、「モチーフやテーマに愛着があった」と大幅に改稿。2度目の挑戦で賞を射抜いた。「このままだと一生世に出ないと思って。そこから小説とは何たるかを勉強し直しました」
物語は三つの視点でつづられる。朝鮮に攻め入る島津の侍大将・大野久高、被差別民ながら儒学を修めたいと願う朝鮮の青年・明鍾(めいしょう)、中国・明と日本のあいだで板挟みになる琉球国の官人・真市(まいち)。通底するのは、礼を尽くさなければ人は禽獣(きんじゅう)と変わらない、と説く儒学の教えだ。
題材は歴史だが、「現代に生きる自分が思う課題や悩みを書きたかった。現代にいると見えないことを、ちょっと視点を離すことであぶり出すというか」。
大阪市に生まれ、現在は京都のカタログ通販会社で働きながら執筆を続ける。「書きたいテーマはたくさんある。自分が読んで120%楽しいと思えるものを妥協なく書ききって、世に出せるようになりたいです」(山崎聡)=朝日新聞2018年10月3日掲載
編集部一押し!
- インタビュー 村山由佳さん「PRIZE」インタビュー 直木賞を受賞しても、本屋大賞が欲しい。「果てのない承認欲求こそ小説の源」 清繭子
-
- 新作映画、もっと楽しむ 映画「サンセット・サンライズ」井上真央さんインタビュー お試し移住が変える日常「足元の幸せを大事に」 根津香菜子
-
- インタビュー ヨッピーさん「育児ハック」インタビュー 「子どもが社会的“野生味”を身につけてくれれば」 川崎絵美
- インタビュー 砂原浩太朗さん「冬と瓦礫」 阪神大震災30年「自分は当事者なのか」書く原動力に 朝日新聞文化部
- インタビュー 松下洸平さん「フキサチーフ」インタビュー 僕の言葉を探してつむぐ、率直な今の思い 根津香菜子
- 今、注目の絵本! 「絵本ナビプラチナブック」 絵本ナビ編集長おすすめの新刊絵本11冊は…? 「NEXTプラチナブック」(2024年11月選定) 磯崎園子
- 北方謙三さん「日向景一郎シリーズ」インタビュー 父を斬るために生きる剣士の血塗られた生きざま、鮮やかに PR by 双葉社
- イベント 「今村翔吾×山崎怜奈の言って聞かせて」公開収録に、「ツミデミック」一穂ミチさんが登場! 現代小説×歴史小説 2人の直木賞作家が見たパンデミックとは PR by 光文社
- インタビュー 寺地はるなさん「雫」インタビュー 中学の同級生4人の30年間を書いて見つけた「大人って自由」 PR by NHK出版
- トピック 【直筆サイン入り】待望のシリーズ第2巻「誰が勇者を殺したか 預言の章」好書好日メルマガ読者5名様にプレゼント PR by KADOKAWA
- 結城真一郎さん「難問の多い料理店」インタビュー ゴーストレストランで探偵業、「ひょっとしたら本当にあるかも」 PR by 集英社
- インタビュー 読みきかせで注意すべき著作権のポイントは? 絵本作家の上野与志さんインタビュー PR by 文字・活字文化推進機構