陸上やり投げ・新井涼平さんセレクト「HUNTER×HUNTER」より
敗色濃い難敵にこそ 全霊を以て臨む事!!
(ネテロ会長)
財宝や幻獣など貴重で入手困難なアイテムを追い求める「ハンター」となったゴン=フリークスが、偉大な父を探す旅にでる冒険物語『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博、集英社)。休載が多いことでも知られていますが、“やり投げ界のエース”の新井さんにとっては「アスリート生活の一部になっている」ほど大事な作品なのだとか。特に影響を受けているキャラクターは、ハンター協会の最高責任者・ネテロ会長。力が及ばない相手との壮絶な戦いの中で出たネテロ会長の言葉は、「自分より強い相手と戦える喜びと、そこに立ち向かう覚悟が感じられた」と新井さんは言います。
ウィルチェアーラグビー・今井友明さんセレクト「ダイヤのA」より
自信の上には奢りがあり、謙遜の下には卑屈がある
(片岡鉄心)
かなりのマンガ好きという今井さんが挙げた一冊は、野球漫画『ダイヤのA(エース)』(寺嶋裕二、講談社)。長野の弱小チームから東京の名門・青道高校に入学した主人公・沢村栄純の「気持ちの強さや周りを引っ張る姿が、見ていてすごく爽快」と語る一方、同じくらい好きなのが青道の片岡鉄心監督だと言います。選手に寄り添う言葉も、叱咤する言葉も「いちいちかっこいい」片岡監督ですが、「自信の上には~」という言葉には、今井さんが活躍するウィルチェアーラグビー日本代表チームが昨年、世界一に輝いたからこそ強く共感したそうです。
重量挙げ・三宅宏実さんセレクト「キングダム」より
目にするものをよォく見てみなさい。敵の群れを。敵の顔を。そして味方の顔を。天と地を。これが将軍の見る景色です
(王騎将軍)
春秋戦国時代の中国を舞台に、天下の大将軍を目指す少年・信と、のちの始皇帝となる政の成長と活躍を描く『キングダム』(原泰久、集英社)で、信の素質を見抜き、試練を与えて導いていく王騎将軍の言葉です。「王騎将軍はそれまでの戦いでもずっと、“将軍のあるべき姿”を信に見せてきていて、最期に託したこの教えもかっこよくて」と三宅さん。将軍と兵の信頼関係が強いほど、チームワークで力が何倍にもなるところは、サポート者がいて初めて舞台に立てる重量挙げに通じるものがあると言います。
トランポリン・岸大貴さんセレクト「はじめの一歩」より
努力した者が全て報われるとは限らん しかし! 成功した者は皆すべからく努力しておる!!(略) キサマが積み上げたモノが 拳に宿る!!
(鴨川源二)
オリンピックを目指して故郷の石川から上京した際、100冊以上の『はじめの一歩』(森川ジョージ、講談社)を段ボールに詰め込んできたという岸さん。「ボクシングにかけるキャラクターたちの姿に感動したり励まされたりもする」中で、何度も勇気づけられたのが、激闘「ブライアン・ホーク戦」の前に鴨川会長が語った言葉。「初めてこのセリフを見たときは、しびれました。努力が報われるとは限らない、と言われているにもかかわらず、背中を強く押されて」。五輪でメダルを獲るにはただの努力ではなく、「周りの選手を上回る圧倒的な努力」が必要だと感じた、と話します。
フェンシング・松山恭助さんセレクト「アイシールド21」より
「アメフトに偶然はねえ ラッキーパンチってのは狙って出すもんだ!」 「持ってるカードの力が10%っきゃねえなら カードの切り方で120%にする…!」
(蛭魔妖一)
「競技は違っても自分の感覚や体験と通じる部分が多いから、スポーツの漫画が好き」というフェンシング日本代表のキャプテン・松山さん。お気に入りの漫画『アイシールド21』(稲垣理一郎、集英社)は、日本ではマイナースポーツとされるアメリカンフットボールの魅力を丁寧に描いて大ヒットした作品です。特に好きなキャラクターは、「裏主人公」として人気を誇る「ヒル魔」こと蛭魔妖一。「ヒル魔は超一流の戦術家で、総合力でかなわない相手にも、多彩な戦術やずる賢さで勝ち上がる。それが見ていてすごく爽快だし、要所要所でヒル魔が言うセリフも心に響きます」。状況に応じて手札の切り方を変えたり、駆け引きをしたりするところは、戦術重視のフェンシングにも置き換えて楽しんでいるそうです。