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野宮真貴さん“手作り”の「おしゃれかるた」は、人生を楽しむヒントがいっぱい

文:菅原さくら、写真:有村蓮

本をもっと知ってもらうために考えた、SNSプロモーション

――野宮さんのファッションや生き方にまつわる格言が、印象的な写真とともにまとめられている『おしゃれかるた』。いったいどのように生まれたコンテンツなのでしょうか。

 もともとは、2冊目のエッセイ集『おしゃれはほどほどでいい』を出版したとき、Instagramではじめたプロモーションだったんです。本のことをたくさんの方に知っていただきたくて、いろいろ方法を考えたんですね。それで、各章のタイトルをかるたにして、関連する写真をつけてアップしたら楽しんでもらえるかな、と。Instagramの写真って正方形だから、それもかるたっぽいじゃないですか。ひらめいたときには、発明だと思いました(笑)。

「おしゃれかるた」より

――野宮さんご自身の発案なんですね!

 スタッフと話していて生まれたアイディアです。エッセイの発売前後から、こつこつ毎日アップしていました。そうしたら、これがなかなか面白がっていただけて……本の内容をだいたい出し終えたときには、ありがたいことに「楽しみにしてるんです」なんて声も聞こえてきていたので、もうしばらく続けることにしたんですよね。今年の春ごろから投稿している「おしゃれかるたリターンズ」が、セカンドシーズンにあたります。そうやってSNSで投稿してきたものに、新しく書き下ろした恋愛かるたも加えて、今回75枚分を1冊の電子書籍にまとめました。

――最初から電子書籍にすることを見込んだ企画ではなかったんですね。とてもすばらしいアイディアだと思いました。

 CDを出すときは、ライブで実際にパフォーマンスをして、曲をアピールしてきました。でも、書籍ってときどきこういうインタビューをしていただいたり、トークショーをやったりはするけれど、内容を直接お伝えする機会がない。SNSで告知するにも、表紙をアップするだけじゃ投稿1回で終わってしまうんですよね。そのなかで伝える方法を考えたときに、エッセンスを凝縮できる“かるた”がいいと思ったんです。

 接点が増えるだけでなく、一枚いちまいに対して、リアクションがいただけるのもうれしいところ。コメントを読んで「みんながおしゃれで悩んでいることを解決できたみたい」とか「こういうコーディネートはちょっとハードルが高いのかな」なんて、みなさんの反応がわかるから、とても参考になります。

――書籍プロモーションとしても優れていますね。

 読むほうにも、エッセイ本とは違う、かるたならではの楽しみがあるんです。たとえば、毎朝ランダムで一枚かるたを選んで、その日のおしゃれのヒントにしてもらうとか。ほら、相田みつをさんの日めくりカレンダーみたいな存在になれたらいいですよね(笑)。

手持ちの写真を、アプリで加工してかるたに

――かるたに使う写真には、どんなこだわりがあるんでしょうか。

 写真は、子どものころからデビュー当時、歴代のアーティスト写真からスナップまで、いろんな手持ちの画像を使っています。言葉をあらわす写真にするのが基本だけど、あえて外すことも。たとえば「自分でブローできる髪型にする」に、絶対に自分じゃブローできない髪型の写真をつけてみたり、「褒められた服は似合う服」に、ボウリングのピンのコスプレをしている写真を添えたり。そういう遊び心も楽しんでもらえたらうれしいですね。ほどよい写真がないときは、撮り下ろしもしています。といってもスタジオを借りた入念なものではなくて、iPhoneでさくっと撮っているだけですが(笑)。

 最初はデザイナーさんに素材と言葉を渡してレイアウトしてもらっていたけれど、リターンズの投稿からは、自分でデザインしています。

「おしゃれかるた」より

――野宮さんが、みずから画像の加工までされているんですか!?

 いまは便利なアプリがいっぱいあるから、加工といっても全然大変じゃないんですよ。あんまり難しいことはできないけど、写真を整えて文字を入れるだけなら、まったく問題なし。この言葉にはどんな写真を合わせようかな? と考えて、ささっとつくって、すぐにアップできる手軽さがいいんです。

 このかるたをはじめて、Instagramのフォロワーがぐっと増えました。やっぱり写真は目を引くし、ぱっと読めてわかりやすいんでしょうね。テレビのお仕事のときにも「おしゃれかるたを紹介したい」と言っていただけたりするんです。

活字は苦手だけど、目で楽しめるファッション本は好き

――野宮さんご自身は、読書からファッションやライフスタイルに影響を受けたことはありますか?

 そうですね、繰り返し読んでいるのは『あのときわたしが着ていた服』(アイリーン・ベッカーマン/飛鳥新社)。著者が、これまでに着てきたお洋服とそのときの思い出を綴っている本です。単なるファッションの説明ではなく、どんな気持ちで着ていたか、なぜその服を着なければならなかったのか、なんてことを細かく描写されていて。挿絵もご本人が描いているから、決してうまくはないんだけど、それもまたいいんですよね。もちろん知らない方なのに、読んでいるうちに彼女の人生を身近なものに感じて、自分の感情が揺さぶられてしまうんです。

 それから欠かせないのは、中原淳一さんの書籍。画家やデザイナー、人形作家として幅広く活躍され、女性が賢く美しく生きることを表現し続けた方です。戦後まもなく、ファッションなんて二の次というような時代に書かれた作品でも「おしゃれ心を忘れないで」というメッセージを感じます。彼が創刊した雑誌『それいゆ』は、ツアーで各地をまわるたびに古本屋をのぞいて、何十冊も集めました。なかでも大好きなのは、さまざまなおしゃれの工夫をまとめた『あなたがもっと美しくなるために』(国書刊行会)。中原さんの作品には、ファッションにも生き方にも、やっぱり影響を受けていると思います。

――中原淳一さんと野宮さんのスタイル、すごくつながりを感じます。

 中原さんが書かれているのもファッションの普遍的なことだから、時間が経っても参考になるんですよね。おしゃれかるたも、そんな存在になっていけたらうれしい。エッセイ本を先に読まれた方は、ビジュアルがベースでよりわかりやすくなったかるたを。かるたから入った方は、内容をより深掘りした書籍のほうも、ぜひご覧になってください。もちろんSNSでの新作投稿も続けますので、お楽しみに。

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