1. HOME
  2. インタビュー
  3. 好書好日エクストラ
  4. 「クロワッサン」編集長・郡司麻里子さんに聞く「まず自分の暮らしを大事にすることから雑誌は生まれる」
PR by マガジンハウス

「クロワッサン」編集長・郡司麻里子さんに聞く「まず自分の暮らしを大事にすることから雑誌は生まれる」

 昨年秋、『クロワッサン』の編集長に就任して最初に手がけたのは、フェルメール展に合わせた名画の特集号でした。その中に登場していただいた原田マハさんのアート小説を読む時間は、大学で美術史を専攻していた私にとって至福のひととき。新刊『常設展示室』も絵画と物語を素晴らしい形で融合させた作品で、「さすがだなぁ」と思いながらながらあっという間に読み終えました。

 ときどきパラパラとめくって楽しんでいるのは『花と料理 おいしい、いとしい、365日』。弊誌でよくお世話になっている料理家の渡辺有子さん、フラワースタイリストの平井かずみさん、そして写真家の大段まちこさんのコラボレーションによって生まれたビジュアルエッセイ集です。これは美意識の高い3人が部活と称し、おいしいもの、いとしいものを自由にスタイリングして撮影した写真と短い文で構成されたもの。誰かに頼まれたわけでもなく、3人が本当に好きなものを集めた1冊で、見ているだけで楽しめます。

 編集長になったタイミングで、渡辺さんには写真家の中川正子さんと交互に「おしゃれの、その先」という連載もお願いしました。流行を追いかける年ではない大人の女性が、自分に似合うものをきちんと選ぶことが心にどんな影響をもたらすのか、二人の選ぶものを通して伝えていきたいと思ってはじめた企画です。さらにもう1本、読者の気持ちをそっと引き締めてくれる素敵な文章を書く美容家の松本千登世さんの連載もはじまり、読者のみなさんに少し新しい風を感じてもらっています。

 最後にもう1冊。弊誌のダイエットや片付け企画の体験モニターとしてよくご協力くださっている作家の山口恵以子さんの本もお薦めです。なかでも、介護で大変な思いをしている方に読んでいただきたいのが、山口さんと91歳のお母様、お兄様、猫3匹との介護の日々を綴った『おばちゃん介護道』。大変なことがあっても、ユーモアと愛情あふれる視点で切りとられた山口家の日常は、読めば自然と笑顔になれます。

郡司さんに紹介していただいた本。左:『花と料理 おいしい、いとしい、365日(リトル・モア)』平井かずみ・渡辺有子・大段まちこ著 /『常設展示室(新潮社)』原田マハ著 /『おばちゃん介護道(大和出版)』山口恵以子著

 『クロワッサン』は創刊から40年以上にわたり読者の信頼を積み重ねてきた雑誌ですので、今回、編集長が変わっても大幅なリニューアルはしませんでした。編集長の使命はそのブランド力を守ること。大切なのは、こうした作家さんたちの力をお借りしながら、読んで、見て満足するだけでなく、読者がすぐ真似できて生活に役立つ等身大の情報を伝えることだと思っています。

 私が編集スタッフ時代に、前編集長から繰り返し言われたのは、「まず自分の暮らしを大事にすること」でした。それが結果的に誌面作りにも活きるからです。ですからこれからも、作り手である私たちの実感を伴ったリアリティのある企画を心がけていきます。そして読者が前向きに生活を楽しみながら自分のことを前より少し好きになれる雑誌として、幅広い世代に手に取っていただけたら嬉しいですね。