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#18 「ヒュッゲ」な暮らしに憧れて デンマーク・コペンハーゲン

コペンハーゲンのニューハウン。カラフルな家が可愛い。

 ずっと憧れ続けているライフスタイルがある。デンマークのコペンハーゲン。大学2年生の時に2週間ほど留学をした場所である。その時のホームステイ先での暮らしぶりが未だに忘れられない。

 ホストは、フレイヤとアンナという当時大学生だった女性。2人暮らしをしているアパートの1室を、私とベトナム人で借りたのだが、まぁ、これが衝撃的なほどオシャレだった。

フレイヤとアンナの部屋。洗練されていて、とてもオシャレだった。
フレイヤとアンナの部屋。洗練されていて、とてもオシャレだった。

 部屋はすべて間接照明で、全体的にモノが少なく、家具の大半は祖母から受け継いだというヴィンテージのもの。洋服はハンガーラックにかけてあるだけで、セレクトショップのような雰囲気。キッチン小物からシャワールームに無造作に置かれた石鹸まで、必要最小限であるけれど、洗練されて選び抜かれた日用品が並んでいた。とにかくシンプルなのに、安心感やくつろぎを感じる部屋だった。

 フレイヤが朝目覚めて、一番最初にすること。それは音楽を流すことだった(音楽にはあまり詳しくないので、何というバンドの何という曲だったかは分からないが、1日の気分に合わせて音楽を選ぶのは、とても素敵な1日の始め方だなと思った)。それから、2人はシャワーを浴びて、身支度を整えて、朝食のリンゴをかじりながら、その日の着る服を選ぶ。昼食として、手作りのサンドイッチを作って、自転車で通学する。帰ってきてからは、大学の課題に取り組んだり、友人と夕食を食べに行ったり。同じ大学生なのに、なんだか生活の「質」が私よりもずっと豊かな気がして、羨ましく思ったものだった。

IW(International Week)といって、世界各国から学生が集まって、企業訪問をしたり、課題についてディスカッションしたり、食事をしながら互いに交流を深めたりするプログラムに参加した。オランダ、スペイン、イスラエル、クロアチアなど世界各国から学生が集まって、とても刺激的だった。
IW(International Week)といって、世界各国から学生が集まって、企業訪問をしたり、課題についてディスカッションしたり、食事をしながら互いに交流を深めたりするプログラムに参加した。オランダ、スペイン、イスラエル、クロアチアなど世界各国から学生が集まって、とても刺激的だった。

 最近、デンマークが世界で一番幸せな国ということで注目を集めているらしい。デンマーク流の最高に心地のいいライフスタイルを「ヒュッゲ」というそうだ。北欧流ワークライフデザイナーの芳子ビューエルによる『世界一幸せな国、北欧デンマークのシンプルで豊かな暮らし』(大和書房)を手に取った。デンマークの住環境やコミュニケーションの取り方、ヒュッゲに関する情報がたくさん載っていて、そうそう、フレイヤもアンナもこんな感じだったなぁと思い出す一冊だった。

“Less is more.”という言葉があります。「少ないほうが豊かだ」という意味です。シンプルでミニマムなのに、温かくて美しいデンマーク・デザインを見るたびに、私はこの言葉を思い出します。(179ページ)
素のまま自然に過ごせることが最高の贅沢(188ページ)

 母親が私を産んだ年齢を過ぎ、結婚をして、これから自分の時間をどう過ごそうか、ライフスタイルを改めて考えることが増えた。大学生の時は憧れに留まっていたヒュッゲ。そろそろ、憧れではなく現実にしてもいい頃かもしれない。できることから実践して、自分の理想のライフスタイルを築き上げていきたい。