宿泊を伴う出張は、仕事とはいえちょっとした旅気分が味わえるもの。どうせ泊まるなら、少しでもお得な気分を味わいたいものです。そこで今回取り上げるのは、出張の心強い味方、ビジネスホテルを「朝食」という切り口から紹介する「全国ビジネスホテル朝食図鑑」です。
本書は、紀行ライターとして日本全国を飛び回る著者、カベルナリア吉田さんが2年間の取材旅行で宿泊したビジネスホテル66カ所の朝食の記録をまとめたもの。行列の並び方や料理の盛り付け方など、ビジネスホテルの朝食会場で見られる光景は日本社会の縮図かもしれないと思い、採食記録を始めたといいます。「ビジホの朝メシを語れるほど食べてみた」という副題がついているように、日本各地で著者が遭遇したビジホの朝食を時には絶賛、時にはツッコミを入れながら紹介しています。
いわゆる定番のビジネスホテルの朝食から、「これがビジネスホテルの朝食⁉︎」というほど豪華なものまで、ひとくちにビジネスホテルの朝食といってもさまざまです。個人的に驚愕したのが、著者も「レジェンド・オブ・ビジホ朝飯」と認定する北海道・小樽の「ドーミーインプレミアム小樽」の朝食。イクラ、カニ、甘エビ取り放題のセルフ海鮮丼だけでもすごいのに、魚介類やトウモロコシの実演焼き物コーナーまであるという至れり尽くせりの朝食は、ビジネス目的でなくとも泊まってみたくなります。
沖縄関連の著書が多いだけに、掲載されているビジネスホテルのエリアにはやや偏りがあるものの、出張・観光の際の参考にしてみてはいかがでしょうか。朝食から旅先を選んでみるというのも一興です。