大阪・天満橋に事務所を構え広告デザインなどを手がけつつ、イラストレーターの中川学(がく)さんと組んで文豪・泉鏡花の作品を絵本にしてきた。2017年に装丁を担当した「化鳥(けちょう)」の英語版(ピーター・バナード訳、国書刊行会)が今春、イタリアの国際デザイン賞を受賞した。
中川さんが絵本「龍潭譚(りゅうたんだん)」で装丁を頼むまで、鏡花は「男性か女性かも知らなかった」。だが、金沢・泉鏡花記念館で日本画家の小村雪岱(こむらせったい)が装丁した鏡花本を見て、「たたずまいがかっこいい」と惹(ひ)かれた。
今回受賞した絵本「化鳥」は記念館の企画。カラフルでポップな中川さんの画風とは対照的に、「純白なイメージ」でカバーを仕上げた。エンボス加工で羽根をあしらい、タイトルは銀色の箔(はく)押し。「美しくありながら、カテゴリーにはまらないビジュアルを目指した」と言う。
京都・岡崎の蔦屋書店では鏡花関連の絵本やグッズを展示販売中(6月25日まで)。「『現代の鏡花本』として、世に残したいと思えるものをつくれたら」(山崎聡)=朝日新聞2019年5月30日掲載
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