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「そうだったのか! しゅんかん図鑑」 身近な現象の“瞬間”にズームイン!

 ふだん何気なく目にしている現象も、“瞬間”で分解すると全く違ったものに見えてきます。今回紹介する「そうだったのか! しゅんかん図鑑」は、科学写真家の伊知地国夫さんがさまざまなモノが動く瞬間をとらえた写真を収録。シャボン玉が割れる瞬間や、ろうそくの炎が消える瞬間など、あっという間すぎて肉眼では見えない一コマを見ることができます。

 子ども向けの本とはいえ、大人が手にしても知られざる世界が広がっています。例えば、線香花火。パチパチと火花が散って見えている光の線は、飛び出した火の粒の残像なのだそう。花火の中でも趣がありますが、残像だと知るとよりいっそう儚さが増します。

 個人的に好奇心のツボが刺激されたのは、お風呂のシャワー。ふだんは水流というぐらいにしか認識していないものも、本書の写真を見ると小さな水滴が連なって細い線を成しているということに改めて気付かされます。いったんその思考モードに入ると、蛇口の水や水たまりの水など身のまわりのあらゆる水が不思議なものに見えてきます。

 “瞬間”という、いつもとは違う単位で事象を切り取ることで、見えてくる別世界。本書を読み終えると、エジソンなみにいろんな物事に対して「なぜ?」を連発したくなるはず。科学への入り口にもぴったりの一冊です。