旧東海道品川宿として栄えた東京・北品川。その北品川商店街のブックカフェ「KAIDO books&coffee」には街道と旅の古本がズラリ。『歴史街道をゆく』『歌舞伎と五十三次』『近江の宿場町』……。手に取れば、ちょっとした旅行気分だ。
空き店舗だったビルの1、2階を改装、2015年にオープン。1階はカフェや展示スペース、郷土史関係の本も充実、2階は北海道から沖縄まで地域ごとに街道や旅、文化、歴史などの本が並ぶ。品ぞろえは約1万5千冊。株式会社「しながわ街づくり計画」の代表取締役でもある佐藤亮太店長(35)は「街道歩きや旅に出るきっかけを作りたいですね。全国とのつながりも広げたい」。
各地で街道の本を集めてきた近くの田中義巳さん(68)から提供された約1万冊の蔵書が中心だ。田中さんは街道歩き歴約40年。「市町村合併で無くなった地名の本もあって、発見もありますよ」と田中さん。
長野県飯田市や富山市、スペインのバスクなどの地域色豊かな企画展も開いた。展示を見た3人の客が飯田市に移住したという。今月から田中さんを講師に「東海道の話あれこれ・月例雑話会」を始める。常連客の渡久知(とくち)正枝さんは「沖縄の本を探しにきました。各地の歴史を知ることができるし、気分転換になります」。
佐藤店長は「旧東海道の宿場町の企画展もできたらいいですね。いろいろな地域の情報も発信したい」。(山根由起子)=朝日新聞2019年6月26日掲載
◇売れ筋
●『歴史街道ガイド 東海道五十三次を歩く』全5巻 児玉幸多監修(講談社) 日本橋~大磯など区間別。旧東海道を色分けした地図も。
●『誰でも歩ける中山道六十九次』上中下巻 日殿言成(ひとのいいなり)著(文芸社) 地図、名所旧跡や歴史を紹介。「五街道の本は人気です」と佐藤店長。