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第161回芥川賞・直木賞贈呈式 今村夏子さん、大島真寿美さんがあいさつ

芥川賞の今村夏子さん(右)と直木賞の大島真寿美さん

友人からの言葉 大切にしたい 芥川賞 今村夏子さん
好きの一点 信じて書いてきた 直木賞 大島真寿美さん

 第161回芥川賞直木賞の贈呈式が23日、東京都内で開かれた。芥川賞は今村夏子さんの「むらさきのスカートの女」(小説トリッパー春号)、直木賞は大島真寿美さんの『渦 妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん) 魂(たま)結び』(文芸春秋)に贈られた。
 受賞スピーチで今村さんは「一番うれしかったのは、音信不通だった同級生から連絡が来たこと」と話した。書店で写真を見かけたと、メッセージが届いたという。「好きなことが見つかってよかったね、うれしいよ」とあった。「なにかとても大きなプレゼントをもらったような気持ちになった。この言葉をずっと大切にしたい」
 大島さんは「書くのが好きという一点を信じてずっと書いてきた」とデビューからの二十数年を振り返った。『渦』について「まったく知らない文楽の世界で一から学んだ」と、取材した人形浄瑠璃文楽人形遣いの桐竹勘十郎さん、吉田勘彌さんを壇上に上げて感謝を伝えた。「文楽は世界の宝だと私は確信している。(『渦』の主人公)近松半二が死ぬまで書き続けたように、私も地道に書き続けていきたい」
 芥川賞の選考委員を今回で退任した高樹のぶ子さんは「今日は私の芥川賞の卒業式でもある。今村夏子さんという才能を送り出してこの壇を降りられることを本当に幸せに思う。これからは今村さんと同じスタートラインに立って書いていく」と述べた。(興野優平)
=朝日新聞2019年8月28日掲載