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BLラバーの書店員が選ぶ! 「スポーツの秋に読みたい。さわやかBL」

部活を引退したら“ただの友達”? 野球少年たちの淡い恋模様(井上將利)

 今年はラグビーワールドカップで日本中が熱狂していますが、さらにさらに野球界では日本シリーズがいよいよ開幕! まさにスポーツの秋という様相となってきましたね。

 束原さきさんの「REPLAY」(幻冬舎コミックス)はそんなスポーツの秋にぴったりな野球少年たちのさわやかな恋模様を描いた作品です。美しい表紙を飾る主人公の2人は野球部に所属する高校3年生。ピッチャーの悠太とキャッチャーの律、小学生の頃からずーっとバッテリーを組んできた夫婦仲の2人。本作ではそんな彼らの引退後を描いています。

 これは個人的な考えですが、学生時代の部活や何らかの活動を「引退する」というのはとても重要な出来事だと思っています。それまでひたすら打ち込み続けたものが突然消えてしまう喪失感や、もう自分たちの時代じゃない的な疎外感を感じて、明日から何しよう…みたいな(笑)。
 でもそうして生まれた空白の時間は、それまで考えもしなかった事に悩んだりできる時間でもあり、その先の人生に大きな変化をもたらす大切な期間なのではと思います。

束原さき「リプレイ」より ©束原さき,幻冬舎コミックス

 本作の2人も例外ではなく、きっぱりと受験モードに移行した律と野球漬けの生活がなかなか抜けきらない悠太の間には微妙な距離感が。今までバッテリー(夫婦)として何でも分かり合えた関係が“ただの友達”になったことに寂しさを隠せない悠太ですが、同時になんだか素っ気ない律に対して、初めて抱く言いようのない違和感を覚えるのでした……。
 そして律の方も実は内心穏やかではなくて、今まで抱えていた悠太への想いに区切りを付けるために葛藤と嫉妬を繰り返す日々。律には律なりの考えがあるのですが、どうにもすれ違ってしまい……。

 微妙に揺れ動く2人の時間を描いた本当に素敵な作品です。最高のバッテリーだった2人はこれからも通じ合って生きていけるのか、人生の岐路に立つ少年たちを見守ってみませんか?

憧れから始まった恋。互いにとってかっこいい恋人であろうとする姿にグッとくる!(キヅイタラ・フダンシー)

 ラグビー、バレーボール、陸上などなど、最近スポーツ界で日本旋風が巻き起こってますね! 世界に立ち向かう姿、本当にかっこいいと思う今日この頃。汗もキラキラ輝いて見える素敵なBL漫画を見つけました。

 北別府ニカさんの「青春の化身」(竹書房)です。

 プロサッカーチーム「FCとしま」を舞台に、圭人と最上の恋愛を中心に描いた作品です。最上は29歳、青春時代から今までサッカーに明け暮れてきたベテランです。圭人は現役の高校生で、その才能でユースからスカウトされ、さらに妙な色気も持ち合わせちゃったイケメンルーキー。チームの寮でお隣さんになった2人は先輩・後輩として仲良くしつつも、最上は圭人に思春期のような恋をしているのでした。実は圭人も幼い頃に出会った最上に憧れてプロサッカー選手を目指したということがわかり、2人はなんだかいい感じに。

 ――この子と一緒に居ると世界は淡いピンクでさわやかなブルーになってしまう
 ――青春の化身が俺の落としてきた青い春をもってやってきた

 このフレーズいいですよね~! アラサーでロン毛でぼーっとした顔の最上が初恋にときめいているのを見て、こっちもキュンキュンしてしまいました(笑)。自分の年齢にそろそろ限界を感じ、圭人の憧れで居続けることに不安になっていた最上に、まっすぐにぶつかってくる圭人も年下ながらかっこいいんです!

北別府ニカ「青春の化身」より ©北別府ニカ/竹書房2016

 もうお付き合いする寸前では!?と思うのですが、ここからがこの作品の面白いところ。2人で買い物をした帰り、圭人は抱いて欲しいと最上に迫るのですが、最上はなんとか理性で踏みとどまります。好きだからこそ、未来ある少年を汚したくない、同じくらい輝けるようになって会いに行きたい……最上の男前な決意にヘタレさも感じなくなっていました。そしてあっという間に3年の月日が流れ、お互いに成長して再会する2人、変わらず持ち続けていた気持ちを告白し合うシーンが素敵でした……。

 2人ともサッカーというスポーツを軸に、しっかりと自分の人生を歩みながら、互いにとってかっこいい恋人でいようという姿勢がグッときます。さらに個人的には嬉しい、攻め受け交代という展開も♪ すっかり大人の男になった圭人に翻弄されまくっちゃう最上、かわいかったです(笑)。憧れから恋が生まれて結ばれるまでの3年間、ぜひ見届けてください。

筋肉の動きの描写は鳥肌もの! 競技ダンスで世界一を目指す男たちのロマン♡(貴腐人)

 テーマは「スポーツの秋に読みたい。さわやかBL」。競技ダンスもスポーツよね♡ “競技”って付くんだから♡ というコトで、井上佐藤さんの「10DANCE(テンダンス)」(講談社、既刊5巻)をご紹介いたします。

 ボールルームダンス(社交ダンス)スタンダード部門の全日本チャンピオン・杉木信也がラテンアメリカン部門の全日本チャンピオン・鈴木信也を「10DANCE」(スタンダードとラテンの計10種目のダンスで競い合う世界大会)に誘うところから始まります。
 一文字違うだけのW信也ですが性格は正反対。踊っている部門がそのまま性格に反映されているような2人。寄ると触ると言い合いばかりですが、ダンスを通じて相互理解を深めあっていきます。そのまま身体の相互理解も深めるかと思いきや、5巻現在まで清い関係です。

 連載がBL誌から一般誌に移った時に「このまま本格的ダンスマンガになっちゃうのでは?」と心配しましたが、作者の井上佐藤さんが「BがLになる」(私の勝手な要約)と書いていらっしゃいましたので安心して読んでいます(ダンスマンガとしても面白いです!)。

 W信也(リーダー)&相手役の田嶋アキちゃんと矢上房子ちゃん(フォロー)でそれぞれのダンスを教え合うのですが、それが抱腹絶倒! W信也は真剣なんです。なんですけど、その真剣さが笑いを呼ぶ! ぷぷぷ。
 力技でアキちゃんを振り回わし、蹴られてすっころぶ鈴木・田嶋組。技術的には何も問題ないけど壊滅的にラテンじゃない杉木・矢上組に、「ラテンの動きとは」を教えるために鈴木が筋肉の動きを見せるところが秀逸! お笑いから一変して本格的ダンスマンガ(!?)の所以たるところ。腕、肩甲骨、背中の筋肉の動きがリアルなんです! 空気が動いているんです!(今回の本編画像)

井上佐藤「10DANCE」1巻より ©井上佐藤/講談社

 初めてここを読んだ時、マジで鳥肌が立ちました! この見開きに心臓を鷲掴みされたままです。

 杉木は世界でも有名(ワールドチャンピオンシップ2位)ですが、鈴木のタイトルは国内のみ。鈴木の才能を信じている杉木は「世界」に引っ張り上げて2人で切磋琢磨しながら世界チャンピオンを目指したいと考えています。
 その考えに反発していた鈴木も「世界」に触れるたびに上を目指したいと思うようになっていきます。男のロマンですね~。
 そこへ辿り着くまでの道のりがこれからも続いていきます。その先が楽しみで楽しみで脳内にワルツを流しながら、プリンセス気分で薔薇とお城のまぼろし~♡を見ながら単行本の発売を待っています。
 現在は5巻まで発行されていて「リアル10DANCE舞踏会」というイベントも毎年開かれています。
 いつか、いつか「リアル10DANCE舞踏会」に行ってみたい!(チケット当ててください!)