東京・日の出埠頭に集まったのは、およそ250人のポッタリアン(「ハリー・ポッター」シリーズファンのこと)。ハロウィンパーティーということもあり、ハリー・ポッターの世界から飛び出したかのような仮装姿の参加者が目立ちました。
パッと見たところの一番人気は、やはりホグワーツ魔法魔術学校の生徒たち。老若男女問わず、制服である黒いローブに身を包み、魔法の杖ももちろん装備しています。
参加者は、ホグワーツ魔法魔術学校のごとく、グリフィンドール、レイブンクロー、ハッフルパフ、スリザリンの4組にくじ引きで分けられ、東京湾を巡るシンフォニー・クラシカ号に乗船。船内には、ハリー・ポッターや「ファンタスティック・ビースト」シリーズの主人公ニュート・スキャマンダーのパネルのほか、ドビーやニフラーといった魔法界おなじみのキャラクターたちの姿があり、参加者たちの仮装も相まって、何だか魔法界に迷い込んできた気分です。
出航後は、しばしのフリータイム。ビュッフェ形式の食事を楽しんだり、船内や船外デッキで写真撮影をしたりと各々自由に過ごしつつも、ハリポタ談義に花を咲かせているテーブルもありました。
たくさんの人の中でも目立っていたのが、ホグワーツの制服姿の男の子2人組、佐藤悠久(はるひさ)くんと市川結貴(ゆうき)くん。仲良しの友だち同士なのかと思いきや、このハロウィンパーティーで出会ったばかりとのこと。しかもお互い小学4年生と同学年。まるでホグワーツ特急の車内で意気投合したハリーとロンを思わせます。
ハリー・ポッターシリーズのどんなところが好きなのか尋ねると「もともと目立たないハリーが地道に頑張って報われるところが好き。驕れる者久しからずです」と佐藤くん。レイブンクロー生に扮しているだけあって、知性を感じさせるコメントです。
MCを務めるハリー杉山さんがステージに登場すると、いよいよ20周年セレモニーの幕開けです。自身もハリポタの大ファンだという杉山さんのこの日の出で立ちは「パリピ(パーティ・ピープル)なデスイーター(死喰い人)」がテーマだそう。謎多きセブルス・スネイプの杖を手に、野心的なスリザリン感がばっちり漂っています。
続いて、ハリー・ポッターシリーズの翻訳を手がけた松岡佑子さんが魔女らしいとんがり帽子をかぶり、黒ずくめの姿で登壇。これからマクゴナガル先生に変身する途中とのことで、J・Kローリングの代理人にもらったばかりだというマクゴナガルの杖を手にしていました。
会場に集まったポッタリアンたちを目の前に、「1巻の『ハリー・ポッターと賢者の石』が刊行された当時、小中学生だった第1世代も今や30代。その子どもたちの第2世代、第3世代と、もっともっと続いていってほしいと思います」と挨拶。
20周年を振り返り、「ハリーたちの最後の戦いである『ホグワーツの戦い』までの全てを私が訳すことができて光栄です。12月から順次刊行となる20周年新装版を出すにあたり、改善するところはないか全部読み返してみたのですが、20年経っても引き込まれる面白い本。ぜひ何度も読み返してみてください」と、ハリー・ポッターシリーズの魅力を語ってくれました。
ハリポタ大好きマジシャンのTAKKi(タッキー)さんによるマジックショーでは、百味ビーンズや魔法動物なども登場し、物語の世界観が楽しめる内容に会場は大いに盛り上がりました。物体を浮かすことができる呪文「ウィンガーディアム・レヴィオーサ」をみんなで唱えて、人を浮かすマジックのお手伝いをする場面も(ウィンガーディアム・レヴィオーサは、原作でちょうどハロウィンの日にハリーたちが授業で羽を浮かす練習をした呪文です)。
セレモニーの最後には、魔法の杖や図書カードなどが当たる「お楽しみ抽選会」を開催。当選者を発表するTAKKiさんの組分け帽子のモノマネが秀逸で、会場は終始笑いに包まれていました。
ロマンチックな夜景を眺めながらナイトクルージングを楽しんだ後、およそ2時間にわたるパーティーは終了。船を下りると、途端にマグルの世界に引き戻された気がしたものの、本を読めばいつでもハリーたちがいる魔法の世界に戻っていけそうです。