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映画「屍人荘の殺人」に出演の浜辺美波さん 「役の境界線を決めず可能性を広げて、自由に演じられた」

文:根津香菜子、写真:篠塚ようこ

原作のイメージを一旦排除して役に臨んだ

――「趣味は読書」と公言している浜辺さん。今回の原作も実写化の出演が決まる半年ほど前に読了済みだったそうですね。

 原作は出演が決まる半年くらい前に読んでいました。当時、学校の友達の間で流行っていて、私も娯楽として読んでいたので、実写化に出演させていただけるとは思っていなかったです。その時はあらすじを読まず、タイトルもそんなに深く考えることなく読み始めたのですが、色んな展開に驚きましたし、最後まで犯人が誰なのか分からなくて、ハラハラして楽しかったです。元々ミステリーが好きなのですが、今までは「クローズド・サークル」ものをあまり読んでこなかったので、とても新鮮でした。

――浜辺さんが演じられた「謎の美人女子大生探偵」剣崎比留子を、どんなキャラクターと捉えましたか?

 脚本を読んだ時、原作と根本的な部分は変わらないけど、表面的なキャラクター性は結構違うなと感じました。原作の比留子は、どちらかと言うと取っつきにくくて、可愛らしさというよりも、何を考えているのか分からない、女性のずる賢さみたいなものを感じさせるようなキャラクターだったんです。でも、脚本にはそういう部分がなかったので、私も原作のイメージは一旦排除して、全体的に親しみがあって、面白い子だなと思ってもらえるように演じました。

©2019「屍人荘の殺人」製作委員会

――映画の序盤は割とコメディ色が強かったので安心して観ていたのですが、ある衝撃的な出来事を機に、あっという間に事件へと巻き込まれていくんですよね。そして、ミステリーの醍醐味でもある謎解きのシーンでは、比留子が決めポーズとして、横綱が土俵入りする時の「雲竜型」を披露しています(笑)! 

 木村(ひさし)監督は、脚本にはない動きやキャラクターに寄せたものを現場で突然伝えてくるので、戸惑わないようにするのが大変でした(笑)。相撲の型をやることも、脚本に書いてあればまだ心の準備ができたんですけど、その場でいきなり言われたので「まさか」と思いました。だけど、やるからにはその場の流れとかではなく「ちゃんと決めよう」と思って、全力でやりました。ミステリーでは「決め」がすごく大切だし、本を読んでいてもスカッとする部分なので、それを映画でも感じていただけるように 思い切って演じました。

 今作は、最後まで完全に比留子像をつかめずに、探りながら、という感じでした。でも、キャストやスタッフの方々と日々関わることで、自分で「ここまで」という境界線を決めないで、役の可能性を広げながら、自由に演じることができたと思います。

――比留子は時折、男性口調になりますよね。聞き言葉として不自然にならないように気をつけたところがあれば教えてください。

 そこは最後まで苦戦しましたね。男性口調っぽくなるのは、脚本を手掛けた蒔田(光治)さんの特徴でもあったと思うので、そこに迷いを持たないようにしました。意識したのは、口だけでセリフを言わないようにすることです。比留子が男性口調になる時は、意外と核心をついてくる時にだけ使っているので、喉や鎖骨辺りから声を出すようにしました。

スタイリスト:瀬川結美子、ヘアメイク:鎌田順子

――中でも、浜辺さんが1番好きなセリフは何でしょう?

 作中で、何度か葉村君を試すようなセリフが出てくるんです。例えば、葉村君に死体の片づけを指示する時に「やってくれたらキスさせてあげる」と言うんですけれど、原作を読んでいても、何を考えているか分からないセリフなのですが、そこに比留子の扱いづらさみたいなものが全力で出ている気がして、私はすごく好きだなと思いました。

ミステリーは自分の中のモヤモヤを吹き飛ばしてくれる

――本好きのお母様の影響で、子供のころから読書家だったそうですが、どんなジャンルがお好きですか?

 この仕事を始めたのが小学生の時だったのですが、その当時は石川県から東京まで、飛行機で通っていたんです。仕事に向かう機内では『ハリー・ポッター』などを読んでいました。そのころからファンタジーが好きですね。特に最近は、大河ファンタジーや中華ファンタジー(中国、または中華風の異世界を盛り込んだファンタジー作品)と、ミステリーをランダムに読んでいます。ファンタジーは女の子が憧れるような作り込まれた世界に飛び込んでいく感じがして、娯楽要素が多いところが好きなんです。ミステリーは、何か心の中に溜まったものをすっきりさせたい時に読みます。ちょっとした怖さや気持ち悪さと一緒に、自分の中にあるモヤモヤしたものを吹き飛ばしてくれるところがいいですね。

 一番印象に残っている作品は、中学生のころ、母に薦められた『模倣犯』です。長編なので読むのに時間がかかったし、人それぞれの感じ方があると思いますが、私は犯人が猟奇的に感じて怖かったので、何度か読むのを止めたこともありました。でも、こういう大人向けの内容の本を母が貸してくれたことや、母と本を共有できたことが嬉しかったんです。今は母と離れて暮らしているので、おすすめの本を教えてもらったり、私がパッケージ買いして面白かった作品を送ったりしています。

――本が今でも浜辺さんとお母様をつないでいるんですね。本作では、葉村くんと明智さんが「ミステリー愛好会」を結成していますが、浜辺さんなら、どんな本のジャンルの愛好会を作ってみたいですか?

 「中華ファンタジー愛好会」ですかね。藤原悠希さんの『後宮に星は宿る』のような中華ファンタジーが好きなんですが、そのジャンルを好きっていう人が周りにあまりいないので、共有してくれる人を募集したいです!

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