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BLラバーの書店員が熱くオススメ!「こんな恋人がほしい!私の理想のスパダリは彼♡」

完璧超人もやっぱり一人の人間なところが魅力的(井上將利)

 自分が思う“理想のスパダリ”をご紹介するという、わりと恥ずかしいテーマが今年最後のお題! 「スパダリ」と一言にいっても十人十色な世界。一人を選ぶのは至難の業であり贅沢な悩みですが、今回はやろうと思ってもなかなか真似出来ないハイスペックなキャラクターに決めました!

 選んだのは本作がデビューコミックスとなった未散ソノオさんの「KOH-BOKU」(新書館)。タイトルの通り、“公僕(公務員)”として働く人間たちが描かれた作品です。

 今宮究は多忙を極める経済産業省政策局政策課の課長であり、くたびれた中年&中間管理職でありつつも愛嬌のある“おじ様”でとにかく仕事熱心な頼れるリーダー。

 そんな今宮を慕う柏木匡は入省時からの今宮の部下で渓谷並みの眉間のしわ(笑)のせいで近寄りがたい存在なのですが、とにかく仕事ができる知的で有能な職員。物語の中心となる二人はいわゆる“経産省のお役人”というわけです。そして何を隠そう、この柏木匡(通称:かっしー)こそが今回ご紹介するスパダリです!

 今宮のスケジュール管理やら捺印書類やら仕事を完璧にサポートする専属秘書ばりの立ち回りをしたかと思えば、仕事中ろくに食事をしない今宮を案じて手作り弁当から水分補給まで健康管理をする家政婦(本人曰く給餌。笑)までをこなす完璧超人ぶり。連日深夜まで続く仕事をこなしながら、外敵から主を守るように立ちはだかる番犬のような存在感に注目です!

未散ソノオ「KOH-BOKU」より ©︎未散ソノオ/新書館

 一方の今宮としてはそろそろ自分から離れてもっと周囲と接して欲しいと思いつつも、やはり一緒に仕事をするのが楽しく、片時も傍を離れようとしない柏木についつい甘えてしまうのでした。

 けれどもある日、もともと体が弱かった今宮が心不全で緊急搬送される事態に。一命を取り留めたものの、いつも冷静沈着な柏木は周囲が驚くほど取り乱し号泣してしまい……。
 完璧超人でも、一人の人間であることに変わりはない。そんな柏木の人間味を感じることができ、僕がこの作品を好きだと感じた印象的なシーンでした。

 “あなたとずっと一緒に仕事がしたい”と柏木が想う一方で、悲鳴を上げる今宮の肉体。かけがえのない師弟関係はこの後どうなるのか、そして徐々に人間味をさらけ出していく柏木のスパダリっぷりにも注目して読んで頂きたい作品です!

 今年も残すところあと僅か、皆さんのBLライフが最後まで充実したものとなりますように! よいお年をお迎えください!

僕の中の「かっこいい」がいっぱい詰まった“ランプの魔人”(キヅイタラ・フダンシー)

 2019年も色々なテーマで書かせていただきましたが、年内最後のテーマは「理想のスパダリ」です! 誰か1人を選ぶのはとても難しいのですが、特に「カッコイイ……(惚)」と思うこの方を紹介したいと思います。

 朝田ねむいさん「マイリトルインフェルノ」(祥伝社)の攻め様“まーくん”です!

 受験に失敗し、渋々通う地元の大学でも友人すらゼロという仁くん。学校とバイトと家を行き来するだけの毎日に後悔と不安を抱いていたのでした。そんなある日、夜道で横を通りかかった車から物音がしてトランクから出てきたのは、謎めいたゴツい大男・まーくん。明らかにカタギではなさそうですが、威圧的な風貌とNOと言わせない雰囲気に気圧されて家に匿うことになり、財布もスマホも貞操も奪われてしまいます。仁くんの貯金をすべて下ろし、パソコンやら服やら買いまくり、我が物顔で家に居座るまーくんに仁くんのストレスは限界。泣き叫びながら抵抗しようとしますが、か弱い仁くんは到底敵わないのでした……。ちょっと仁くん不憫過ぎない⁉︎と読み始めは感じていました(笑)。

 そんな仁くんの反応を面白がっているだけのように見えたまーくんですが、朝ごはんを作ってくれたり、借りた金を倍以上にして返してきたり、そういえば敵意はないんだなーという感じ。ただ、300万円もの大金をぱっと作ってしまうとは一体何者⁉︎と思っていたら、なんと実は天才ハッカーだったのです! トランクに閉じ込められていたのも、元相棒&元恋人のナカモトからの追手に捕まっていたから。スリルとハイになることを忘れられず、まーくんの才能に固執するナカモトと、平凡な暮らしを求めたまーくん。二人の方向性の違いに、仁くんのお母さんまで巻き込んで、物語はドラマチックに展開していきます。上下巻のボリュームなのでストーリーに映画のような面白さがあるところも本作オススメポイントです!

朝田ねむい「マイリトルインフェルノ(上)」より ©︎朝田ねむい/祥伝社on BLUE comics

 そして、まーくんがとにかくカッコイイ! 作品のモチーフには「アラジン」が使われているようなのですが、まーくんは正に願いを叶えてくれるランプの魔人というところです。笑う顔がちょっと怖いけど仁くんを助けてくれる、けれどその優しさはさり気なくて男前。買い物好きで、ちょこちょこ変わる服装がオシャレ。パソコンに向かうとき、口角が上がって楽しそうな顔がイケメン。しかもハッカーとは思えない肉体美! 単純にお金持ちとかステータスが高いとかの軸ではない、僕の中の「かっこいい」が詰まってるって感じです(笑)。

 最悪の出会いから始まった二人の関係ですが、何もできなかった仁くんも徐々に変わって、まーくんが求めていた存在になっていったんでしょうね。仁くんがとんでもない行動に出てまーくんに気持ちを全部ぶつけるところはグッときました。

 凸凹な二人で、Hシーンも仁くんがうだうだ言ってムードの欠片も無いのですが(笑)、お互いちゃんと好き合っているんだなというのが伝わってきてニヤニヤできました。年末のお休みに上下巻イッキ読み推奨です♪

タイプの異なるスパダリ二人がくんずほぐれつ(貴腐人)

 今月のお題は「こんな恋人がほしい!私の理想のスパダリは彼♡」。

 今月も悩みました。BL界にはスパダリが多すぎて。

 悩んだ末に選んだのは、藤河るりさんの「スパダリさまとスパダリくん」(芳文社)です。タイトルまんまのスパダリ二人がくんずほぐれつしてくれます♡

 キラッキラ笑顔でみんなの癒し王子の内科医・高倉と、口も素行も悪いが腕だけはいい外科医・伊達は、医大時代からのライバル。俗に言う馬が合わないという二人。

 それまで距離をおいてきたが、当直の日に大雪が降り、帰れなくなった先生たちで仮眠室はいっぱいのため、旧仮眠室の一つのベッドで休むことになり、一波乱。

 愛犬が亡くなり不眠症になった伊達は、自分を心配する高倉の重みが愛犬の重みと重なり心地よくお休みになりますが、抱き枕にされた高倉は納得がいかないどころか彼女に浮気されて以来EDだったのに大変お元気になり、困惑気味。

 せっまいベッドで起こった出来事でお互いの弱味をさらけ出し、急接近しますが、簡単に進まないのがポイントです。「お付き合い」に対するお互いの意識が違いすぎて高倉は、伊達を受け入れられない。でも、カラダは正直だぜ!(←今時こんな言い方をするのは古の腐女子くらいかしら……) 伊達にだけ、お元気に反応しちゃうんですねぇ♡

 異性関係が派手な母親を嫌っている高倉は同じタイプの伊達には苦手意識があり、避けようとします。でも、なんとか抱き枕になってもらいたい伊達に弱味(EDで欲求不満が溜まると下品な言葉が出る)を盾にされ、抱き枕状態を続けることに。

 しかし、高倉は気持ちが伊達に傾きかけているため、伊達の女性関係を知れば知るほど耐えられなくなり、伊達を拒絶します。

 拒絶された伊達は、なんと女性関係を一掃。お互い拗らせすぎて本当にくっつくのかしらと心配になりましたが、きちんと「好き」を自覚してくれました! 不眠症もEDも完治して心もカラダもハッピーエンド!

藤河るり「スパダリさまとスパダリくん」より ©︎藤河るり/芳文社

 スパダリ同士、上か下かで揉め続けてください(一生、高倉が下だと思うけど)。

 さらなるオススメポイントは座薬プレイと紙本カバー下のあとがきです!

 靴下……。萌える……。

 紙本の方は、是非ともカバー下のあとがきもお楽しみください。